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◆◇桜の古都巡り◇◆
奈良観光旅行記

4.続・高速バス乗り場が見つからない






 コンビニでスマホのマップを見せたが首をひねられる。ここで聞くよりこの先に交番があるからそこで聞いてみてと。

 交番はもう一本先の道を渡った右だとコンビニの人は言った。
 それを聞いた私はてっきり渡って直進し、その道の右手にあるのだとばかり思ったが、冷静なカナが路上の地図をちら見して交番の位置をしっかり確認していて、道を渡って右というのは右に曲がらなくちゃいけないという意味だと判断した。
 思ったより交番までは距離があり、カナが確認していなかったら今度は交番を探して彷徨っていたかもしれないと青くなる。
 やっと見つけた交番は無人で、でも交番の前の道に数人の警官がいて、何か交通整理のようなことをしていた。

 「あのう、そこの交番が無人なのですが、道に迷ってしまって」
 「いいよいいよ、ここにおまわりさんいっぱいいるから。で、どこかな」
 「ここなんですけど」
 スマホを出すとおまわりさんは別のおまわりさんを呼んで二人で地図を覗き込んだ。
 「あー、こっちじゃないよ。えーとね、新宿駅の反対側。甲州街道を新宿駅を越えて左に曲がったところ」


長谷寺 登廊



 やっと頭の中の地図と、スマホの中の地図が重なり合った気がした。

 遅い。遅すぎる。

 でもようやく場所は判った。かなり駅から遠くに来てしまったので、この道をまるまる駅まで戻って、さらに探さなけりゃいけない。本当に間に合うのか。

 重たい荷物が恨めしい。走って走って息も切れて、目の前がちかちかする。
 このままバスの集合時間に間に合わなかったらどうしよう。
 奈良での宿泊予約は取っちゃったけど、旅行自体が行けなくなるか。あるいはお金を無駄にしたって泣きながら明日の朝新幹線に乗って、時間も半日以上ロスしてしまうんだろうか。

 新宿駅の南口に戻ってきた。三度目だ。
 とりあえず何となく方角は判った。南口を出て右前方にあるはず。もう一度甲州街道を渡って今度は右へ。右の方の景色は何となく知っている。南口の左方面と違って見覚えがある。

 走りながら地図を見て、たまたま目についたビル名を口にする。
 「この辺にMSビルディングって言うのがあるはずなんだけど」
 「今あったよ」
 じゃ、道はあってる。今度こそ着くはず。もう時間が全然無い。

 「MSビルの手前に曲がる道があるはずなんだけど」
 「そんなとこ無かった」
 うっ、また不安が頭をもたげる。


南朝妙法殿



 とにかく方角はあっているはずだから、この先で一番最初の曲がり角を曲がって場合によってはぐるりと回ろう。
 ひたすら走った。周辺の景色はまた薄暗くなってきた。
 地図で見ればこの先左手にコンビニが見えるはずだ。あったあった。良かった合ってる。

 コンビニの二軒ぐらい先にバス乗り場はあるはずだったが、それらしいものは見つけられなかった。
 まだ大きなバスターミナルのようなものをイメージしていたので、道沿いにバス停が並ぶか目立つ看板が見つけられると思っていたのだ。

 位置はほぼ合っているとして、残された可能性はこの道の裏側にバス乗り場があるということ。
 地図では道の左側に並ぶビルの裏に濃いベージュの道のようなものが見えている。
 家を出る前からこれが気になっていて、パパにもこれ何?と聞いたのだがよくわからず。今思えば道じゃなかったのだが、その時はバス乗り場が見つからなかったのでこれが道で、ビルの裏側に回らないとバス乗り場に着けないと思った私は子供たちにさらにスピードアップするよう言って自分も必死で走った。

 しかし、行けども行けども裏に回る道が現れない。
 これは変だ。地図ではコンビニの数件先にその濃いベージュの道のようなものが見えていて曲がれたはず。

 もう時間が無い。絶望してきた。
 とにかくこの先へ行っても無駄。戻ろう。
 戻ろうったって、どこに行けばいいのか・・・。


石舞台古墳



 当てもなくまた駅に向けて走り出した私の視界に、道のないところへ向けて曲がっていく大型バスが見えた。
 横腹にプリントされたロゴは「Night Liner」。
 えっ、えええーっ。

 「あれだ!! あのバスに乗るんだ!!」
 ラストスパート、死ぬ気で走った。子供たちはわけがわからなかったと思う。私もわけがわからなかった。

1-5新宿発 京都・奈良・大阪行きナイトライナーへ続く


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