27.季節外れの桃カステラ
さて、さっきも長崎旅行でのレナの希望が、フルーツ大福と桃カステラだと書いたが、残念ながらフルーツ大福を売っている新地中華街の双葉屋はお休みだった。
残るスイーツは桃カステラということになり、ちょうどこのとき目の前に長崎堂というカステラ屋を見つけたので、桃カステラを求めて入ってみることにした。
長崎堂の中は土産物としてカステラを売るだけでなく、食事もできるようになっていた。
カウンターで桃カステラを買いたい旨伝えると、怪訝そうな顔をされてしまった。
「今は季節ではないので・・・」
「えっ、桃カステラは一年中売っているわけではないんですか?」
「雛祭りのお節句の贈答用ですので、今はこちらには置いておりません」
振り返ると、もうレナは涙目。
フルーツ大福のみならず、桃カステラまで手に入らないとは。
長崎旅行で楽しみにしていた二つがおじゃんになってしまい、精神力だけでなんとか歩いていた足も限界に来たようだった。
グラバー園出口から大浦天主堂を経てカーブしながら下っていく坂道には他にも祈りの丘絵本美術館などがあり、長崎市旧香港上海銀行長崎支店記念館のところで大通りにぶつかる。
これは出島辺りから海沿いに南へ延びる国道499号線こと大浦海岸通りで、クルーザーが停泊する湾沿いに少し歩くと路面電車の大浦海岸通電停が見えた。
流石に私とカナも疲れを感じていた。
本日の今後の予定であるが、まずどこかで夕食を食べなくてはならない。
宿泊予定である
稲佐山温泉ホテルアマンディは素泊まりで予約を入れてあるからだ。
山の中の一軒宿ならいざ知らず、長崎市内ならばいくらでも好みのものが食べられるだろうと思ったことが理由の一つだ。
アマンディ行きの送迎バスは長崎駅前から出るのだから、駅前で食事をとろうと思っていた。
でもガイドブックを見ても、特に駅前に長崎らしい食事処が集中しているという風でも無いし、そうだ、いいことを思いついた。
今日の午前中に見学した出島は、今はすっかり埋め立てられて地形に昔の面影は無い。
しかしその埋め立てられた跡地の一部は、出島ワーフという小洒落たウォーターフロントスポットになっているようなのだ。
あそこに行けば食事できる店が沢山あるんじゃなかろうか。
しかも夜の港のライトアップを眺めながらゆっくりできそう。
駅前のファミレスに入ったりするよりいいと思う。
というわけで一路行き先を出島に変更。
今日二度目の出島行きとあいなった。