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宝台樹キャンプ場日記


最終日 2005年7月18日(月)


 テントは外が明るくなれば中も明るくなる。
 雨戸やカーテンを閉め切った家の中にいるのとは違う。
 夜更かししていても6時過ぎにはだいたい目が覚める。
 でもやっぱり寝不足で身を起こすのは無理・・・。
 寝起きの悪い自分は、いつも目が覚めてから動き出すまでに平気で一時間とかかかってしまう。

 テントの外で「滝、どうだった?」
 「これから行ってみようか」
 などという会話が聞こえた。
 どうもkazuさんが朝一番に滝を見に行って、それを聞いてだださんと晶さんも行ってみることにしたということらしい。
 宝台樹キャンプ場からは裏見の滝という景勝地が近い。
 滝を裏からも表からも見られると言うスポットだ。
 しかし、後からkazuさんに教えてもらったことには、裏へ回る道は今は通行止めになっているとのこと。表からしか見えないらしい。



 朝からyuko_nekoさんは猛烈に働いていた。
 焼きそばを作り具だくさんみそ汁を作る。がっちゃんも茄子と卵でちゃちゃっと一皿作ってくれた。
 そのままみんなチェックアウト時間も眼中になく、またもや昼近くまでうだーうだーと過ごしてしまった。どうもこのメンバーでキャンプするとこうなる傾向があるようだ。
 子供たちはテントウムシやらカブトムシの雌やら捕まえて遊んでいる。
 やっと全部片づけ終わったのは既に昼過ぎ。

 ここでだださんと晶さんとkazuさんとお別れ。
 次は「松茸オフで」が合い言葉。
 我が家とyuko_nekoさんちとは、沼田方面へ出てトマト狩りをして帰ることにした。
 そういえば初日にテントを立てた直後、大雨が降ってきたが、あれきり雨には降られなかった。
 梅雨明け前の三連休。
 雨だけが心配だったが杞憂に終わったようだ。
 やっぱり子供たちは晴れ女。
 なんでも一昨日の雨だって、キャンプ場では昼頃短時間降っただけだったが、下界(街)ではかなりの雷雨だったという。我々は雨風も除けて通るのだ。
 そう思ったらパパが
 「もしかしたらまた、帰りに大雨になるかもしれないぞ」
 ふーむ。
 そうなんだよね、いつも旅行の帰りは嵐に見舞われる。
 別に何もかも終わった後だからいいんだけど、しょっちゅう雨の降りしきる夜の高速道を走っているよなぁ。



 トマト狩りをする白沢村のアライ・トマトランドは、初日にyuko_nekoさん一家が寄ってきたところだ。
 あそこで狩ったトマトとバジルが美味しかったことと、ちび姫ちゃんが気に入った子猫が二匹いるというので決めた。それにブルーベリー狩りもできるというし。
 道はがっちゃんの運転にお任せ。
 こちらはひたすら彼の車の後をついていく。
 沼田の街はかなり古くからあるらしい町並みだ。
 たばこ天国という変わった店もある。
 ここは一昨日、yuko_nekoさんとがっちゃんがキャンプ場に来るときに見て、ぜひヘビースモーカーのパパに見せたいと言っていた看板がある。
 あまりに面白いので写真に撮ってしまった。

 携帯が鳴った。
 yuko_nekoさんからだ。
 「お昼は蕎麦ととんかつとどっちがいいですか?」
 パパは「とんかつ」
 ということで入ったのは、道沿いのトミタという店。
 この辺りは片品川に沿って深く切れ込んでいる。
 店の窓からも川の広い谷間と対岸がよく見える。
 注文したとんかつはヒレとローストひとつずつ。
 子供たち、特にカナが沢山食べて、とんかつはホンの少し、そしてご飯は一粒も私の口には入らなかった。



 アライ・トマトランドは道の駅白沢の望郷の湯の裏手にある。
 信号待ちしているときに右手に簡単な看板が見えた。
 がっちゃんの車が右に曲がり農場の中に入っていく。
 ここは桃太郎・イタリアントマトなどいろいろな種類のトマトを中心に、各種ハーブや甘味料になるステビア、ブルーベリーなども栽培している。
 ちょうど若いカップルがいろいろ野菜を買い求めているところだった。
 トマトランドのおじさんが忙しく働いている中、ちび姫ちゃんが「猫、どこにいるの?」と聞いた。
 猫は檻の中にいた。
 おじさんが檻から出していいよと教えてくれたので、一昨日にも来たちび姫ちゃんはすっかり我が物顔で黒い斑のある白い子猫と、白い斑のある黒い子猫を出してきた。
 名前は白ちゃんと黒ちゃん。
 宝川温泉のくーちゃんとまーちゃんに負けず劣らずそのまんまのネーミングだ。
 子猫は大人しく人なつこいが、二匹はまったく性格が違い、白ちゃんは物怖じせず紐を見ると飛びつきじゃれつく、黒ちゃんはシャイでじっとそれを見ているが馴れてくるとやっぱり紐が大好き。
 紐に目がない子猫を見て、すっかりデジカメを子供たちに取られてしまった。撮影のためじゃない。カメラをぶら下げる紐がほしいのだ。

 残念ながらこの連休ですっかりトマトは品切れになってしまったそうだ。
 昨日も今朝もyuko_nekoさんに食べさせてもらったが、ここのトマトは本当に甘くて美味しい。フルーツみたいだった。

 yuko_nekoさんたちは野菜が目当てだったが、うちの子供たちはブルーベリーが目当て。早速摘み取り用のプラスチックケースをもらってブルーベリー畑へ繰り出した。
 ところがひとつふたつ摘み取って、「美味しくない・・・」とカナ。
 「だって冷たくない」
 カナは大好きなブルーベリーがよく冷えた状態で食べられると思っていたので、炎天下ぬるまった実を食べて、予想と違ったのでムッとしたらしい。
 「だったらここで食べずとにかく摘めば、後で冷やしてゆっくり食べられるよ」
 「嫌だ。美味しくないもん」
 とかなんとか言っていたが、凝り性、職人肌の彼女のこと。
 気が付くと木の下にしゃがみこみ、夢中でブルーベリーを摘んでいた。
 最初ぶつぶつ言っていたとは信じられないほど、彼女のケースはあっと言う間に満杯になった。
 それにしても暑い〜。
 「おーい、もう戻っておいで。今、37度もあるんだってよ」とパパ。
 さんじゅうななど〜!?
 死んじゃう。

 ブルーベリー狩りを終えた後、トマトランドのおじさんは摘みたてのプラムを食べさせてくれ、それからサービスでバジルも摘ませてくれた。
 このバジルがまたトマトとよくあうし美味しいんだよね。
 昨夜なんかつまみがなくなると、自分はバジルをそのままちぎってつまみにしていた。
 おじさん曰く、「バジルは丈夫で切った茎をペットボトルなんかに水を入れて挿しておくとすぐに根が出てくるんだよ」
 「へえー」
 「ラベンダーも試してみたけど、あれは駄目だった」
 yuko_nekoさんが、ハーブの保存法や使い方は若奥さんが詳しいと教えてくれたところへ、その若奥さんが戻ってきた。
 トマトは品切れだけど、トマトソースはあるという。
 yuko_nekoさんは早速若奥さんのところに買いに行った。
 そろそろお暇するようかなと空を見上げたら、農場の誰かが「あの雲が怪しい」と呟いた。

 西の空からわいてきた雲はそれほど黒くなかったので、まさか雨は降るまいとたかをくくっていたが、アライ・トマトランドを出る頃には既にぽつりぽつりとフロントガラスに雨粒が当たり始めていた。
 まさか本当に、帰路は大雨?
 今回最後の温泉は、takayamaさんお勧めの塩河原温泉渓山荘で考えていたが、こちらは旅館なので諦めてセンター系に行くことにした。
 子供たちは遊びたいし、ドライバーたちは休憩室でゆっくりしたいので。
 トマトランドからは望郷の湯が見えていたが、そこではなくyuko_nekoさんお勧めの南郷温泉しゃくなげの湯に行くことにした。
 yuko_nekoさんにとってはこの辺りはかつての庭のようなもので、彼女に任せておけば間違いない。

 しゃくなげの湯は利根村村営の日帰り温泉だ。
 まだ真新しく木の香り芳しい。
 ただ、猛烈に混んでいた。
 駐車場入り口に入場制限の可能性があると看板が立っている。
 yuko_nekoさんが、こんなに奥まったところでもこんなに混んでいるとはと吃驚していた。
 「やっぱりお湯のいいところは流行るのかしら、それとも他のもっと便利な場所の施設はさらに混んでいるのかしら」
 うーん・・・両方かも。

 がっちゃんの車は目の前に空いた場所にすっと入ることができたが、うちの車は第二駐車場の一番奥まで誘導された。本当に満車ぎりぎりというところだ。
 またぱらぱらと雨が降ってきたので急いで施設の入り口に駆け込んだら、カナがどうしても持って入りたい人形があるとぐずりだした。
 一人ぐずれば、みんなぐずる。
 めいめい持って入りたいものが違うのだ。
 仕方なくパパとyuko_nekoさんがそれぞれ車に人形を取りに行くことにした。
 ところが・・・
 二人が車の方へ走っていったとたん、笑い事ではすまないような土砂降りに。
 ・・・あーあ。
 二人は無惨にも服を着たままお風呂に入ったような状態になってしまった。
 それでもしゃくなげの湯は困っている人に傘を貸してくれる。
 ちょっと気の利いたところがある温泉だった。

 お風呂も混んでいた。
 一週間ごとに岩風呂と桧風呂が替わるのだが、今週は岩風呂が女湯。
 丸い石で縁を囲んだ浴槽の様子といい、混雑した洗い場の行列といい、yuko_nekoさんとお正月に行った新潟の千手温泉千年の湯を思い出した。
 洗うのが一つの目的だったので、黙ってカランが空くのを待っている。
 ひとつ空いたところでyuko_nekoさんが子供二人いるからお先にどうぞと譲ってくれた。

 まだ激しい雨が降っていた。
 内湯も混み混みだったので洗い終えたらまっすぐ露天風呂に出てみた。
 ここはジャグジーをのぞき全部無加水非加熱掛け流しのはずだ。
 露天風呂には浴槽が二つあり、大きい方は隅の方だけ屋根がかかっていた。
 当然入浴客は全員狭い屋根の下に集まっている。
 僅かに白い濁りのあるお湯だ。でもほとんど透明に近い。
 白い湯の花とときどき茶色っぽい湯の花。
 この湯の花、手ですくってみると意外にぶよぶよとしたゼリー状で不気味だ。
 薄く痛みかけたゆで卵の臭いがする。
 熱すぎないがよく温まる。
 yuko_nekoさんが、しゃくなげの湯はスキー帰りに寄ると筋肉痛にならない効果が有るんだと教えてくれた。

 突然雷鳴が轟いた。
 恐怖のあまりちび姫ちゃんは内湯の方に舞い戻ってしまった。
 おずおずとガラス越しに露天風呂の方を見ている。
 カナとレナは音が遠い間はけろりとしていたが、親と離れたところで二人で遊んでいたら突然近いところで鳴り響き、仰天して戻ってきた。
 しゃくなげの湯は景色も悪くない。
 ただ、塀が高いので山しか見えないが。
 山と山の間に雲が懸かっている。まだしばらく雨は降りそうだ。



 湯上がりにはソフトクリーム。
 最近アイスクリームやソフトクリームを食べないカナも、ブルーベリーヨーグルト味は大丈夫だったみたいだ。
 一口もらって美味しかったので、親の分も買いに行った。
 休憩室もぎっしり。
 でも子供連れが多いので少し気が楽だ。
 yuko_nekoさんが携帯で渋滞情報を聞いて、「関越道50キロ」と教えてくれた。
 パパはげんなり。
 「今出てどっぷり渋滞にはまるよりは、もうちょっとここでゆっくりしていこう」
 じゃあ・・・というわけで、まずはパパが、それから私が、交替でもう一度お風呂に出かけた。
 子供たち抜きで入るチャンスはそうないので逃したくない。

 今度は雨もあがって露天風呂にも大勢の人がいた。
 今回の群馬の旅もこれで終わりだな。
 まあよく飲んでよく食べてよくしゃべった旅だった。

 上がってみると、みんなは休憩室から消えていた。
 あんまりのんびり入っていたから置いて行かれたか。
 食堂に移動していたようだ。
 夕食は十割蕎麦とマイタケ天ぷら。隣でyukoさんたちが食べている生湯葉も美味しそうだな。
 食べ終わって子供たちの面倒を見ていたパパが戻ってくるまでの間に、yuko_nekoさんともう一杯飲んでいたら、「あーっ」と睨まれてしまった。



 ほんのりライトアップされたしゃくなげの湯を出て、yuko_nekoさんのナビで昭和ICへ出た。
 流石に裏道には詳しい。
 しかしその先は渋滞また渋滞。
 とほほ。
 天候に恵まれた分、最後は溜息。
 ああーっ。果たして東京にはいつ着くのーーー!?


おしまい

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