3.またまたおぶせ温泉、またまたサマーランド
今朝も松川渓谷温泉の混浴露天風呂で朝風呂。
トンボがスーッと湯面を横切っていく。
何だかこの生活・・・とっても幸せ。
三日目 2008年8月15日(金) |
今朝は昨日よりは空いていた。
パパは長湯をしなかったけど、私はのんびり入っていたら、いつの間にか他に人影はなく、ようやくこの広い露天風呂を独り占めできた。
松川渓谷温泉の混浴露天風呂は、川沿いにあるけど川は見えない。
端まで歩いていけば何とか見えないことはないけれど、湯船にとっぷりつかりながらではまったく見えない。
でも空は見える。
木々も。
せせらぎの音も聞こえるし、不満は何もない。
しばらく入っていると、yuko_nekoさんとがっちゃんが入ってきた。
充分満足したので私はそろそろ上がろうかな。
朝食には温泉卵と鶏そぼろ。
実は松川渓谷温泉では温泉卵が作れるというふれこみで、露天風呂の側にある食事処の正面に温泉卵を作るための場所まであって、たぶん卵を持参して頼めば作らせてもらえるのではないかと思っていたが、卵を2パック買いこんで頼んだら、何故か今は源泉温度が低いので無理だと断られた。
以前、
滑川温泉や
四万たむらでトライしたことがあるが、とにかく温度が足りないといくら時間を掛けても固まるどころか痛み出すだけ。
四万たむらは松川渓谷温泉同様、温泉卵が作れるというふれこみだったが、そのときはたまたま源泉温度が低かった。
買った卵、どうする〜? という話になって、冗談で「温泉を汲んできて沸かせば」と言ったら、本当にそんなことになったらしい。
パパが源泉を汲んできて沸かし、そのお湯で温泉卵を作った。
水道水を沸かしたのと違って、ほんのり温泉の匂いがするのがポイントだ。
鶏そぼろはパパ自慢のひきずり(鶏肉のすき焼き)を作った時は必ず翌朝に登場。
ひきずりの残った汁を挽肉と共に煮詰めて作るのだ。
yuko_nekoさんの作った湯葉もある。
私たちと合流する前に美味しい豆乳を手に入れてきて、それで作った自家製湯葉だ。
パパはこの松川渓谷温泉の自炊施設をいたく気に入っていた。
いや自炊施設だけじゃなくて、値段の安さや、温泉の質も。
ついでに湯治客が暇にならないように、本棚という本棚にマンガが詰めてあるのも気に入っているらしい。
ところでみなさん、小学生の夏休みと言えば自由研究でしょ。
これが夏休み序盤に片づけば良いのだが、後半まで引っ張ると苦しい。
過去の夏休みもだいたい旅行中の体験ものでやっつけてきた我が家。
今回もこの旅行で何か作って済ませようと考えていた。
出発前からyuko_nekoさんと電話でそんな話をしていて、ちょうど合流前にyuko_nekoさんたちが滞在する松本の美鈴湖のキャンプ場で良い企画があるという話になった。
ピンポールなどを制作する体験ができるとか。
しかし、この旅行記を最初からご覧になっている方には判ると思うが、美鈴湖に寄ってから松川渓谷温泉に来るという計画はすっかり狂い、結局その体験はできなかった。
そこでyuko_nekoさんたちは、ピンポール制作のキットだけ、現地で買ってきてくれた。
あとは説明書の通りに組み立てれば良いらしい。
がっちゃんがこっちこっちと言うので見に行ったら、松川渓谷温泉玄関前の駐車場の所になんと専用工作所ができていた。
この専用工作所、凄いんだぞ〜。
アウトドア用のテーブル。
アウトドア用の椅子。
そしてピンボールのキットがテーブルに並べられて、椅子にそれぞれ子供たちが座っていた。
あまりにも完璧なその様子に、宿のご主人も通りかかって笑ってる。
とんてんかん。
とんてんかん。
ハンマーで板にピンを打ち付けていく。
カナは最初は早い。最初だけ。
いつの間にか周りに抜かされてべそをかくタイプ。
カナとレナは初心者用のピンボール。
最年長のちび姫ちゃんは中級者用のミニパチンコ。
ミニパチンコの方がピンボールよりずっとピンが多いので大変そうだ。
そのうちピンを打つのはしなるアウトドアテーブルの上よりも硬いコンクリの方がいいらしいと気づいたちび姫ちゃんが直にコンクリートの上で作業し始め、気が付くと直射日光ぎんぎらぎんになってきたテーブルがきついカナとレナは、日影にテーブルセットごと運んでもらって作業を続けた。
およそ45分ほどで全て完成した。
これで今年の夏休みの宿題は終わり!!
・・・と、後はカナとレナはおばあちゃんに手紙を書く約束をしていたんだっけね。
「今日は一緒に行くって」
パパが行くとyuko_nekoさんに言ったらしい。
「何で?」
「やっぱり昨日、一人で残っていて寂しかったんじゃないの?」
ほーんとーうかなー?
凝り性?のがっちゃんはもう限界のようで、どこかでマッサージしてもらいたいらしい。
この松川渓谷温泉ではマッサージ師を呼ぶとかそういうのはやっていないそうだ。
昨日、期待してyuko_nekoさんが蕨温泉に電話してみたのだが、この辺りで大きい日帰り温泉である蕨温泉もマッサージ機があるだけで、マッサージ師はいないようだった。
そこで今日はおぶせ温泉まで降りることにした。
一昨日初日に寄ったおぶせ温泉あけびの湯クラスの施設で有れば、きっとマッサージ師がいるだろうということになったのだ。
子供たちはもちろん温泉に行きたがらないので、こちらはサマーランドで遊ばせることになった。
yuko_nekoさんが一人で子供たちを引率してくれると言ってくれた。
じゃあ私は、男性陣と一緒におぶせ温泉に行っていいわけね。
ところがそれを聞いたパパがムッとしていたとyuko_nekoさんが言う。
「何で?」
夫婦でも判らんもんは判らんぞ。
yuko_nekoさんもがっちゃんも、パパがムッとしていたことをおろおろと気にしている。
パパはがっちゃんと二人だけで行きたかったのかなぁ?
他にムッとするような原因は思いつかないけど。
というか、こんなことでムッとするかな?
本人に何がムッとしたのか聞きに行ってくると私が言うと、yuko_nekoさんが慌てて止める。
いや、止めなくていいから。
気になることは確かめないと気が済まない私。
「パパ、何ムッとしてるの?」
「別に・・・何もムッとしてないよ」
パパは普通だった。
ええい、yuko_nekoさんたちを脅かさないでよ。
普通だったよと伝えると、yuko_nekoさんは、「違うマッサージだと思ったんじゃない」と一言。
・・・。
昨日のことがあるのでちょっと早めにと、出発したのは12時半。
松川渓谷温泉の人が、このところ毎日夕方から夜に掛けて雷雨になって、今日の予報もそうなのよと教えてくれたので、早めに行って早めに帰ってきたい。
その割にはあんまり早くも無いが。
今日も本当にいい天気。
毎日昼間はよく晴れている。
12時50分には昨日のサマーランドに着いてyuko_nekoさんと子供たちが車から降りた。
子供たちはもう洋服の下に水着を着ている。
昨日の浮き輪も手に持って、わくわくと降りていった。
さて、おぶせ温泉に向かった大人三人組には落とし穴が待っていた。
「え〜っ!!」
マッサージ目当てでやってきたおぶせ温泉では、なんとお盆期間中につき、マッサージが休業との張り紙。
何のためにわざわざ山を下りて小布施まで来たの。
「俺、マッサージ機でいいよ」と、しょぼんとしたがっちゃん。
とりあえず自動マッサージ椅子だけは三機並んでいる。
「長野はお盆に観光客から稼ごうっていう感覚は全然無いんだね」
マッサージを諦めたら温泉しか残らない。
パパは初めてだが、私とがっちゃんにとっては一昨日も来たおぶせ温泉、とにかくゆっくり入ってくることにした。
ここは内湯は加温目的の循環だが、露天風呂は掛け流しになっている。
露天風呂に出てみて、やったーと思った。
お湯が緑色だった。
一昨日来たときは、内湯も露天も女湯は青みがかった白い濁り湯だった。
でもがっちゃんいわく、男湯は、内湯は白かったけど露天は緑だったと。
そこで帰りがけにロビーで聞いてみたのだ。
何故色が違うのかと。
すると、おぶせ温泉は色の変わる温泉だと教えてくれた。
「ほら、この上の方に
五色温泉ってあるでしょう? あれとおんなじ系統なんですよ。日によって色が変わることがあってね。お客さんから入浴剤か何か入れているんじゃないの? と言われることもあるんですけど、もちろん何も入れていませんよ」
男湯も女湯も同じように源泉を引いているという。
でも、日によって、男湯と女湯で違ったり、内湯と露天で違ったりするそうだ。
真っ白な温泉も好きだけど、一昨日の男湯のように、内湯と露天風呂で色が違うと二倍得したような気がする。
男湯だけずるいぞ〜。
そう思っていたけど、やったー、今日は女湯の露天風呂も緑だー。
なんか嬉しい。
yuko_nekoさんにも見せてあげたい。
ゆで卵の臭いが強い。
露天風呂で景色を見ながらのんびり。
三世代らしい一家が入ってきた。
子供はまだ小さい。
お盆や正月に地方の日帰り温泉に来ると、よくこんな微笑ましい光景に出会う。
かなり長湯をしたつもりだったが、上がってみるとまだ誰もいなかった。
休憩室の自販機で飲物を買ってしばらく待っていると、二人とも出てきた。
がっちゃんはお風呂上がりはマッサージチェアでリラックス。
マッサージ師が休みで可哀想と言えば可哀想。
yuko_nekoさんから添付画像入りのメールで、子供たちが仲良くやっていると報告してくれる。
返信にがっちゃんがマッサージチェアに乗っている画像を送った。
あと、プールの後に合流して蕨温泉に行くのはどうかなと、がっちゃんが提案してくれた話も。
「あ〜いいね〜それは嬉しい」とyuko_nekoさんは二つ返事で了承してくれた。
その後はyuko_nekoさんからレナがアイスを食べて顔中アイスまみれになっている画像が送られてきた。
一方こちらはお風呂上がりでお腹が空いている。
もう時間も2時半になろうとしている。いくら朝食が遅めだったとはいえ限界だ。
「あけびの湯の食事はそんなに期待できない感じ」とパパが言った。
「だから外へ出て蕎麦屋を探そう。蕎麦を食べたい気分なんだ。この辺と言えば蕎麦だろう?」
蕎麦と言うより栗という気がするが(小布施の名産は栗)、まあ長野県だから信州蕎麦か。
そこで我々は外へ出た。
「小布施の町中で蕎麦屋を探すか、山を登る方向へ行ってみるか」
おぶせ温泉あけびの湯で入手した小布施の観光マップには、蕎麦屋の印がない。何しろ一番目立つように書かれているのが、栗関係、和菓子屋などだから。食事処は和食もイタリアンも区別無く、どこが蕎麦屋だかわかりゃしない。
・・・さすが小布施だ。
って、そんなところに感心していてもしょうがない。
三人が三人とも山を登る手前、というか、登り掛けたところに大きな蕎麦屋を見たと言って、結局町中ではなく山の方を目指すことになった。
信州高山温泉郷の方へ登る道は二本ある。
県道66号線と、54号線から112号線に続く道だ。
小布施から行けば66号線の方が近い。
黙って66号線を登った・・・が、しかし、どこまで行っても蕎麦屋は無い。
いくらなんでもこんなに上の方じゃ無かったぞと思っているうちに、なんと山田温泉まで登ってきてしまった。
まあいい。
こうなったら山田温泉の蕎麦屋で食べることにしよう。
温泉街に一軒ぐらいは蕎麦屋があるはずだ。
ところが、大湯の斜め前、ジモ専浴場の隣の蕎麦屋には「誠に勝手ながら3時まで休憩させていただきます」の張り紙が。
「ホントに勝手だよ」
「休憩するなよ」
もっと勝手な我々は言いたいことを言う。
といっても3時まで待つ気は無い。
「この上の公共駐車場下にも食べるところがあったよ」と提案する私。
「あれはうどん屋だ。俺はうどんじゃなく蕎麦が食べたいのだ」どこまでも我が儘なパパ。
仕方なくまた山を下る。
今度はもう一本の112号線の方。
ああもう、空きっ腹で行ったり来たり。
途中で一軒小さな蕎麦屋を見つけた。
でもこれまたお盆で休業中だ。
おぶせ温泉のマッサージ師と一緒。
まったくお盆で儲けようって気がないらしい。観光地自覚に掛けているところが逆に良いところなのかもしれないが。
もっともっと下ったところでようやく記憶にある蕎麦屋を見つけた。
思っていたより町の方だった。
ようやく私たちは遅い遅い昼食にありつけそうだった。
蕎麦屋の名前は高山亭。
タカヤマ亭ではなくコウザン亭と読ませる。
信州のみをエリアとするチェーン店のようだ。
何故か隣には牧場があって牛が鳴いている。
シンプルな蕎麦屋ではなく、結構ユニークなメニューが多く、私は蕎麦の上にサラダが乗っているような「そばサラダ」を頼んだ。なんと上からカルボナーラ風ドレッシングをかけて食べるようになっている。
量にも、普通、小盛り、大盛り、こうざん盛り(特盛り)と四種類があり、それぞれ値段が違う。
私は小盛りを注文したが、充分に量が多かった。
がっちゃんは最大級のこうざん盛りを頼んだが、あいにくとがっちゃんが注文したにしん冷やかけそばはこうざん盛りができないメニューだった。仕方なく大盛りで。
がっちゃんが運転してくれるのをいいことに、パパがまたビールを飲み始めたので、私もデザートまで注文してしまった。
食事をしているときyuko_nekoさんから何時に帰るかというメールが届いた。
4時撤収でとがっちゃんが言う。
そこで4時少し前に、蕎麦を食べ終えた私たちはyuko_nekoさんと子供たちをピックアップするために、サマーランドに戻ってきた。
西日が背中を焙った。
ちょうどサマーランドの出入り口前にあるベンチは西日の直射日光がじりじりと照りつけていた。
今日は昨日と違ってまだこの時間から降り出す様子はないようだった。
それにしても暑い。
4時15分頃、三人の子供を連れてyuko_nekoさんが出てきた。
これだけの長い時間、子供たちの面倒を一人で見てくれてありがとう。
私は夏休みになると、子供たちの面倒を24時間見ているような気になっていたので、こうして少し離れる時間があると嬉しい。
カナとレナも流石に自分の親でなくyuko_nekoさんに面倒を掛けてはいけないと思ったのか、トラブルは何も起こさなかったそうだ。
二人は二人に預けておいたお金で、スイカの模様のビーチボールを買っていた。
昨日の浮き輪と合わせて遊ぶ道具に使ったと言っていた。
ただ、二人とも遊ぶのに忙しかったのと食べたいものが無かったのとで、プールサイドでほとんどものを食べなかったらしい。
この後とりあえずコンビニに寄って、おにぎりだとかアイスだとか買い込んだ。
カナがおにぎり、レナがアイスを食べたのに対し、ちび姫ちゃんはカルビ弁当。ヘビーにがっちり食べていた。
「とにかく急いで帰ろう」と急かすパパをさておいて、私は「蕨温泉に行くんだよね」とがっちゃんたちに言った。
「そんなの聞いてないぞ」とパパ。
聞いて無くてもがっちゃんもyuko_nekoさんもそのつもり。
だいいちプールに入った子供たちをしっかり洗わなくちゃ。
泊まっている松川渓谷温泉には、豊富な温泉はあるけれどシャワーが無いのだ。
これって結構子供たちを洗うのに手間が掛かる。
少し日の陰り始めた坂を上り、蕨温泉ふれあいの湯に到着した。
そこは、想像していたより綺麗で洗練された印象のある日帰り温泉だった。
隣に日本秘湯を守る会の宿、わらび野がある。
紫陽花の咲く竹垣の奥に目立つ大きな提灯がぶらさがっている。
でも蕨温泉ふれあいの湯はわらび野とは関係が無く・・・といっても、わらび野に宿泊すると無料でふれあいの湯に入れるそうだが、とにかくふれあいの湯の方は、高山村の村営だ。
駐車場の目の前に小さな産地直売所があり、その隣のバスの待合所のような四阿に、三毛猫が一匹寝転がっていた。
人が近づこうが撫でようがお構いなし、まるでここの主のようだ。
ちび姫ちゃんは物怖じせずにすぐに猫に触ったが、カナとレナは猫大好きなのになかなか触れない。
大人が早く入ろうよというのになかなか子供たちは猫から離れようとしなかった。
なかなか入ろうとしないのは子供たちだけではなかった。
「俺はいいよ、さっき入ったし」とパパ。
まあいいや。パパは置いていこう。
入りたがらないパパを置いて、残りのメンバーはタオルを手に券売機で入浴券を買い、中に入った。
洗おうと思って来た温泉だったが、村営のためか、小綺麗な外観と裏腹に、シャンプーも石鹸も装備されていなかった。
仕方なく、一式yuko_nekoさんに借りた。
もちろんシャンプーは無くてもシャワーはあった。
内湯は長方形で湯口がとても面白い。
なんと雷さま。
雷さまの口からお湯が出ているよ。
露天風呂は眺めが良いことでも知られていた。
善光寺平の方面を見下ろすようになっていて、晴れていれば北アルプスもくっきりと。
といっても、絶景大パノラマ・・・というほどではない。
等間隔に目隠しされた竹垣の間から、ゆるやかに山里を見下ろしている感じ。
ここの温泉はこの辺りには珍しくあまりきしきしとしない。
色も白濁せず、どちらかというと昆布出汁のような色。
とろりとしたとろみがあって、臭いも硫黄系ではなく油系。昆布出汁のような臭いがする。
信州高山温泉郷の中では比較的地味なお湯。
でもこうしていろいろなバリエーションがあるのが信州高山温泉郷の良いところ。
子供たちはここのお風呂がとても気に入った。
子供たちの好みよりはちょっと熱めだと思うのだがとても気に入った。
お湯が気に入ったわけではなく、眺めが気に入ったわけでもなく、正確にはツバメが気に入ったらしい。
露天風呂のひさしの柱に、まもなく巣立ちそうな雛たちがピィピィと忙しなくくちばしを動かしながら顔をのぞかせている。
親ツバメは辺りを旋回して、餌を調達しては子供たちの元へ運んでくる。
「可愛い可愛い」
「ほら、また親が来た」
カナとレナとちび姫ちゃんはツバメ観察に夢中だが、その逆にyuko_nekoさんは耐えられなかった。
「わ、私、上がるわ」
鳥が苦手なんだって。
昔、自宅に鳥が巣を作って酷い目にあったらしい。
うちの妹も同じ理由で鳥が駄目だ。
私も家に巣を作るのは勘弁してほしいと思っているが(
鳩戦争勃発参照)、見ているだけなら好き。
蕨温泉ふれあいの湯では、露天風呂にツバメの落とし物が落ちないように、屋根のところに段ボールを敷いてガードしている。
後で聞いたら男湯側にもツバメの巣があったようだ。
女湯の雛たちももうずいぶん大きくなっていて、まもなく巣を離れそうな感じだった。
私とがっちゃんは見かけは全然違うけど、味覚の好みはとてもよく似ている。
私が美味しいと思う食べ物はがっちゃんも美味しいと言うし、がっちゃんが旨いよというお酒は私も旨いと思う。反対に苦手な食べ物も一緒。だからがっちゃんが勧める食べ物にはハズレが無い。
一方、パパとyuko_nekoさんの好みもまったく同じだ。二人が美味しいと思うものも共通だし、飲みたいと思うシチュエーションや酒量も似ている。
そんなパパはyuko_nekoさんのために、くさやを持参した。
私はくさやが大嫌いだ。
くさやと言うのはいわゆる魚の干物で、ただの干物ではなく、くさや液というものに漬け込んだ干物だ。このくさや液というのがくせ者で、死ぬほど臭い。腐りきった臭いがする。
それを食べると臭いが臭すぎるのはもちろん、口の中に入れたとき吐きそうな臭いが喉から鼻に上がってきて、なんでこんなものを食べなきゃあかんのだと、いきなり関西弁で怒鳴りそうになるくらい許せない食べ物だと思っている(もちろんドリアンも駄目)。
でもパパはくさや好き。
yuko_nekoさんもくさや好き。
家では誰も賛同してくれないので、今回yuko_nekoさんと食べようとくさやを持ってきたのだ。
いくら自炊宿でも厨房でくさやを焼くのは禁止。
私だけじゃなく、宿にいる人全員にとって大迷惑だ。
彼もそこのところは自覚している。外に出て、駐車場の片隅で、カセットコンロを使い焼き始めた。
そこまでは良かった。
まあ、私としては焼くだけじゃなく、食べた人が同じ部屋にいるのも個人的には許可したくないが、外で焼くのまでいちゃもんつけるつもりはない。
ところが私が部屋に入ってしばらくすると、屋根に雨の当たる音が聞こえてきた。
「雨降ってる!!」
慌てて外へ出てみると・・・。
意地でパパがくさやを焼いていた。
ぽつりと一人で暗闇の中、傘を差してしゃがみこみ、くさやを焼いていた。
もう勝手にして。
その後がっちゃんが私を呼びに来た。
「ねぇ、ちょっとここ開けてみてよ」
厨房のドアを指さして言う。
「えっ、なになに? 何があるの?」
なーんかやだなと思いながらそこを開けると、yuko_nekoさんがくさやをほぐしていた。
「臭う?」
「いや、大丈夫」
厨房の中に入る。思ったより臭わない。
がっちゃんも恐る恐る入ってきた。
好みの似ているがっちゃんも、くさやの臭いは駄目なのだ。
そして大人四人は完全に厨房を我が物顔で占拠して、調理台につまみや飲物を置いて飲み始めた。
ちょっと飲物のお代わりを取ろうと私が席を立って冷蔵庫の方に行くと、
「うっ・・・く、くさ〜っっっ!!」
ちょうどその辺りに臭いが貯まっていた。
やっぱりくさや、耐えられない〜。
でもパパもyuko_nekoさんも平気な顔で美味しい美味しいとその腐りまくった魚のほぐし身を口に運び、最後はお茶漬けにまで入れて食べていた。
パパが自家製すいとんをがっちゃんによそった。
「あっ、スープだけでいいです」
その後私もすいとんをもらう。
「私もスープだけで・・・すいとん以外の具はOKだけど」
「お前もか!!」
怖いくらい私とがっちゃんは似ている。
「やっぱよしかさん、すいとん嫌い? あのぐにゃぐにゃして味もないのがどうもね。ほうとうも嫌い?」とがっちゃん。
「いや、ほうとうは・・・でも厚いほうとうは嫌いかも」と私。ほうとうも麺以外は大好きだし。麺は普通。できれば薄く切ってあるのがいい。
「何言ってんの、すいとん美味しいじゃない。大好き」
yuko_nekoさんは反論する。
パパももちろんすいとん好き。
流石に子供たちは厨房で食べさせるわけにはいかず、部屋で食べさせた。
今夜も雨が上がった後は花火。
楽しい旅行も明日で終わり。
夏休みももうじき終わり。
涼しい風が吹き抜けると、もう山には秋が近い。