◇◆がんばれ新潟◆◇
四万温泉と雪国古民家の旅
遅いお昼ごはんは中腹のサンモリッツで。
ちなみにサンモリッツというのはスイスの街の名前で冬季オリンピックも開かれたことがある場所だ(私も通過したことがあるよ)。
食べたのは新潟醤油ラーメンと、何故か富士宮やきそば。
静岡県の富士宮市がやきそばで町おこししているっていう話は知っているが、何故に新潟のスキー場で富士宮やきそば?
昨日の松之山温泉スキー場や一昨日のまつだいファミリースキー場でも感じたが、新潟のスキー場のゲレ食は個性的だ。
新潟醤油ラーメンの方は、魚介だしと生姜を効かせているあるところが新潟中越風なんだそうだ。確かに魚っぽい味のスープだった。
レストハウス・サンモリッツの正面は、右手に美奈ゲレンデ、左手に大別当ゲレンデの上級者向け急斜面がそびえている。
昼食前はこの大別当のトリプルリフトを何回か使ったが、当然リフトから見下ろす上級者コースのあまりの長さと斜面の急さにおそれおののき、いつも迂回コースを滑っていた。迂回コースもなかなか景色がいいのだ。
しかし突然レナが上級者コースを滑りたいと言い出した。
「・・・」
確かに君はスキーが上手い。
小学1年生にも間違えられる小柄ちゃんで板もボーゲンだが、確かに君の滑りは安定している。
去年まではどんな急斜面でも緩いところと同じ速度で降りてこられるだけだったが、今年は緩急自在、驚くほどのスピードやカーブの技術までいつの間にか手に入れていた。
確かに君には中級者コースは物足りないかも。
「でも駄目。絶対無理」
リフトを降りて上級者コースに向かおうとしたレナをパパが慌てて止めた。
「大丈夫だよー。あそこ滑りたいー」
リフトから見る上級者コースは、幅が広くコブこそ少ないもののとにかく急で長い。それに真中がえぐれたパイプ型になっている。
「大丈夫ったって・・・」
不安そうなパパ。
「あっ、私は絶対上級者コースには行かないからね」私は真っ先に離脱を宣言した。
自分はあんなコースは降りられない。
たぶんカナも。
急いで私とカナは迂回コースを滑り降りた。
合流地点から見上げれば、レナとパパが上級者コースを下りてくる一部始終が見られるはず。
レナが先に降りてきた。
パパがその後ろだ。
別に上級者コースということをまるで意識していない風に、ゆっくりターンを描いて降りてくる。
「レナー、どうだったー?」
「楽しかったよ~。また行くー」
ひー、あのえぐれた斜面を?
レナとパパが下りてくると、ほぼ同時に降りてきた見知らぬおじさんが話しかけてきた。
「凄いなぁ、お嬢ちゃん。あのコースの真ん中が特にえぐれていて、端の方がまだマシなんだよ。お父さん、端の方へ連れていくかと思ったらそのまま真ん中を降りるんだもんなぁ、びっくりしたよ」
しきりとレナのスキーをほめる。
そんなこともあってか、カナも上級者コースに行きたいと言い出した。
いや、カナ、君はやめておいた方がいいと思うぞ。
私はフォローできないし。
というか、絶対私は行かないからな。
パパはなんとかかんとかカナをなだめすかして、だもので、もう一度行きたいというレナも諦めさせて、家族みんな、つまり私でも滑れる中級者コースに戻ることにした。
写真じゃ判らないけどこのコース急でえぐれていてすっごく怖そう。私は絶対滑れない。なのにキミのその不敵な笑みは?