◇◆がんばれ新潟◆◇
四万温泉と雪国古民家の旅
子どもたちはまた一度は降りないと言ったが、時間が有り余っていると説得したところ、レナが公園で遊ぶ気になった。
車を降りてブランコまで走って行き、そこにカナが追い付いて、今度は彼女が先に斜面の遊具に向かった。
寒いけど・・・日なたは少し暖かい。
足もとの土も霜が溶けてぬかるんでいる。
カナとレナが仲良く遊具で遊び始めたので、パパと私は二人に断ってから、道向かいの神社にお参りしてくることにした。
なんたって今日は元日。
初詣しなきゃ。
道の駅霊山たけやまの向かいにあるのは親都神社。親都と書いて「ちかと」と読む。
この辺りは古くは斉藤氏の城である嵩山城の城下町として栄えた。ちなみにこれから行く四万温泉の四万たむらの祖はこの斉藤氏の所縁だ。
嵩山城というのは、このふるさと公園たけやまの目の前にそびえる奇怪な岩山だ。昔、城だった嵩山も、今は三十三の観音をめぐるハイキングコースとなっている。
そして親都には樹齢七百年のご神木、乳の出ない女性にご利益のあるという巨大なケヤキの木が立っている。
パパと赤い提灯の下がる参道を登っていくと、どこからか祝詞が聞こえてくる。
突き当りのどんど焼きで二人ほど男性が暖を取っている。
右手に小さな本殿。
ここから祝詞が聞こえてくるようだ。
笙の音も。
奥に神主の姿が、手前には氏子とおぼしき人たちがずらりと正座してこうべを垂れている。
「と、とてもがらんがらんと鳴らしてお賽銭なんて投げられる雰囲気じゃないな」パパが苦笑いした。
社務所に詰めている方が私たちに気づき顔をのぞかせて、「甘酒をどうぞ」とふるまってくれた。