◇◆がんばれ新潟◆◇
四万温泉と雪国古民家の旅
駐車場はあんなに混んでいたが、お風呂はそうでもない。
岩風呂にも先客は一人。すぐに上がってしまわれた。
下段の広い浴槽に入って中段の浴槽に手だけ入れてみる。
おお、かなり熱い。気合いがいるから今はやめとこ。
下段のお湯は霞のような濁りがあるが、中断は無色透明に澄んでいる。鮮度の違いだ。
華やかな灯油のような臭いがして、入っていると何かすべすべするものが肌にコーティングされたような感触になる。
ちらほらと茶色い湯の花。
ある程度温まったところで、いよいよ源泉浴槽にチャレンジすることにした。
恐る恐る手を入れてみたが、さっきの中段ほど熱くはないような気がする。
とぷん・・・と入ってみた。
大丈夫。死ぬほど熱くはない。
こちらはぬるい方ほどの華やぎはないものの、上品で力強いお湯だ。
流石にそんなに長くは入っていられないので、もう一度ぬるい岩風呂に戻って一息ついていると、後から入ってきた女性が、突然「ここが足を洗う所なのよ」と岩風呂の外れを指さした。
「そうなんですか?」
「そうなのよ。ここでまず足を洗ってから露天風呂に入るの」
どうも地元の方らしい。
やれ、いつもいるおかっぱ頭の人が最近来ないだとか、朝風呂料金はともかく日中630円はこの辺りの相場からは高すぎるだとか、最近おきた幼児の犠牲になる事件は加害者被害者ともに親が悪いんだとか(被害者の親が悪いという意見には賛同できない)、次々と話を振られる。もう相手の剣幕に私は相槌を打つのが精いっぱいだ。
この方に誘われて、中段の浴槽にも入ってみた。
源泉浴槽より少し熱かったように思う。
でもぬるい方より刺激的だ。
そのうち後から入ってきた他のお客さんに話が振られるようになったので、これ幸いと上がることにした。
その頃にはあの狭い源泉浴槽も5、6人のお客さんで賑わっていて、常連さんは「あれだけ入っていればぬるくもなるわね」と言っていた。