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◆がんばれ新潟 雪国のお正月◆5-5


5.憧れのかまくら

 若井さんは玄関前まで除雪を終えると、今度は引き返してきて雪だまりのところを更に広げて一ヶ所に雪を積み上げ始めた。
 「かまくらが作れますよ」
 かまくら!!
 思わず目を輝かせる。
 子供の時に持っていた絵入りの百科事典に「かまくら」が載っていた。
 事典に載っている他のものはほとんど実物をその目で見ることができたが、かまくらだけは見られなかった。
 東京に積もるような雪は滅多に降らなかったから。
 事典の中に描かれた子供たちは、こんもりと丸い雪のおうちの中で、火鉢を囲んでお餅を焼いていた。その膨らんだお餅の美味しそうだったこと。

 小山に盛り上がった雪は、もうそれだけで十分固くなっているのだそうだ。
 念のため若井さんが上に乗って固さを確認してくれた。
 それから男性陣が交代で穴を掘る。
 子供たちはどんなものができるのかと興味津々で覗き込む。
 穴はだんだん大きくなり、子供三人ゆったり入れるくらいになった。大人にはちょっと小さいが。
 すごいすごい。
 本格的なかまくら。
 若井さん、ありがとうございます。


夢にまで見た本当のかまくらです ほら、子供三人が余裕で入れる大きさ


 若井さんが、この辺りでは昔は1月14日(だったかな)になると、かまくらを作り、子供たちはこの日だけは一晩中遊んでいて良かったと教えてくれた。
 昔は今と違って遊ぶ玩具も少なく、子供たちにとっては待ちかねた特別の一晩だったのだろう。

 カナとレナとちび姫ちゃんは、かまくらの中に手袋やお菓子を置ける棚を作ったり、大きな雪の固まりを運び込んで椅子にしたり、入り口のところにカエルのおもちゃをくっつけて屋号みたいにした。

 やがてちび姫ちゃんだけが民家の中に戻ってきた。何も言わずビデオを見ている。
 どうしたのかと思ったら、かまくらの中でカナとレナが喧嘩を始め、それが怖くなったかららしい。
 カナとレナは二歳違いの姉妹で、仲が良いときはとても仲良しだが、いざ喧嘩を始めるとつまらないことで延々と言い争いをする。
 その言い合いがまた、お互いにきつい口調で命令しあうという形になってあらわれる。命令すると相手は命令を聞かず別の命令を下すという不毛な争い。
 親にしてみると姉妹のこのようなやりとりは日常茶飯事で、そのうちに治まってまた仲良く遊び出すと知っているから、あまり酷くなければ放っておくのだが、一人っ子のちび姫ちゃんには耐えられなかったようだ。ごめんね。

 しばらくして耳を澄ますと、外から聞こえる二人の声は、命令の応酬ではなく、何かになりきったごっこ遊びのそれに変わっていたのでホッとした。
 仲直りしたのだ。



5-6.再び三笠屋酒店へ続く


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