◆◇桜の古都巡り◇◆
京都観光旅行記
鳥居のトンネルはまだまだ続いていた。
上り坂が急になると息切れがし、石段になるとため息も出た。
いったいこれ、どこまで続いているんだろう。
よく覚えていないが以前来た時ももしかして、どこまで続いているのか判らず適当なところで諦めて引き返したんだっけ?
そういえばそんな気もしてきた。
しばらく登っていくと少し雰囲気の違う場所に出た。
鳥居が途切れて踊り場のような場所に石の鳥居と小さな複数の祠が斜面に無秩序な感じに並んでいる。
後で判ったが、三ツ辻という場所らしい。
バイクが一台停まっていてあの石段をどうやって登ったのかなと思ったが、よく考えると途中で左手に分かれ道があって鳥居は少ないが段差がなさそうだったからあそこから来たんだなという結論に私たちの間で達した。そのバイクをここに停めているということは、この先はいよいよ徒歩でしか登れないのかもしれない。
確かにこの辺りからは石段が増え、益々斜面がきつくなってきた。
そしてまだまだ鳥居が続く。
もう、いったいどこまで・・・時刻を見ると3時13分。30分以上登っていることになる。
あと少しで一番上というならこの時刻でも良いのだが、まったく終わりが見えないのだから、果たしてどれだけ時間が掛かるやら。だんだん不安になってきた。
またしばらく登ると開けた場所に出た。
左手の木々の間から町が一望できる。こんなに高くまで登ってきていたとは。
草っ原に座り込んで食べ物を食べている人もいる。
この辺りにはちょっとした甘味処などもあって、伏見稲荷全体の見取り図も見つけた。
ええっと・・・ここはどこで、どのくらいまで登ってきたんだ?
のぞきこんでびっくり。
縮尺の度合いは判らないまでも、まだ半分か、いいところ2/3ぐらいしか来ていない感じ。
現在地は四ツ辻という場所で、この先何本か脇道はあるものの、一番奥の社まで行ってぐるりと戻ってくるにはまだまだ時間が掛かるらしい。
もしかしてもしかすると伏見稲荷大社って一山全部が神社なの?
今日まで見て回った神社仏閣のほとんどは広い境内を持っていて見て回るのに1時間以上なんてざらだったけど、流石に順路が一山巡っている規模は無かったわ、想像しないわ。
これは今日全部行くのは無理。
パパと夕食の豆腐屋で待ち合わせているのが午後5時であと1時間半しか無いでしょ。
直接そこに行くにも、その前にちょっとだけどこかに寄るにも、伏見稲荷の頂上まで行く時間は足りない。
だいいちこの四ツ辻から麓まで降りるにも来たときと同じだけ時間が掛かるわけだしさ。
「今回は伏見稲荷はここまでにしよう」
「えー」当然ブーイングが上がる。
「予約した夕ご飯に間に合わないし」
「じゃ、もう一か所どこかに行くの?」
えっ?
「寄れたら寄ろうって言ってたじゃない」とカナ。
あー、うん、東寺とか東本願寺とか西本願寺とかね。東寺はレナが東寺餅が食べたいとも言っていたな。
「東寺に行こう。まだ時間在る?」
「まあ急げば・・・」と私。
「じゃあ急いで戻ろう。急いで急いで」