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◆◇桜の古都巡り◇◆
京都観光旅行記

12.本物の寺田屋は焼失してしまってもう残っていない






 やっぱり八条口って穴場だなぁと思いながら、手近のコインロッカーに荷物を押し込み、ほとんど並んでいないタクシー乗り場で小型タクシーに乗り込んだ。
 京都は小型タクシーが多くて助かる。東京だと当たり前のように大型しか走ってないんだもん。





 運転手は話好きな陽気な人で、行先を告げると「懐石カフェ? なんや伏見稲荷にそんなしゃれた店があるんですのん?」と聞いてきた。
 蛙吉を予約するに至った説明をしたが、そもそも懐石とカフェのイメージが折り合わないらしい。もちろん私も行くのが初めてなのだから、懐石カフェというものがどういうものなのか説明できない。
 あとはちょうど桜が満開の時期に来られてラッキーだったねという話をされて、私はこんなに京都の桜が素晴らしいなんて来て実際に見るまで知らなかったと言うと、京都の神社仏閣の桜はそれらの庭の景観の一部として完璧に計算しつくされているからねと笑われた。
 そうなのだ、京都の桜は凄い。
 東京でも毎年花見をするし、桜の名所と言われるところもいくつも行ったけれど、東京の桜はほとんどソメイヨシノで、しかもその同じソメイヨシノが群れ咲くところが美しく迫力はあるもののどれも同じような風景になりやすい。
 一方京都の桜はと言えば、枝垂れあり、一重あり、八重あり、色の濃いもの淡いもの、どっしりした古木から凛とした若木まで、とても個性豊かにしてそれぞれが背景の庭と調和している。
 どの桜も絵になり、どの桜も古都の歴史を背負っている。
 それは花の時期の京都をこうして訪ねるまで、いくらテレビやガイドブックの写真を見ても判らなかったものだ。

 京都駅の反対側は渋滞も無くすんなりと行ったが、やはり当初予定していた寺田屋はカットして正解だったと思う。
 何しろ伏見方面と言えど最寄駅はさらに遠い中書島駅。駅からも決して近くは無く、かなり歩かなくてはならない。
 寺田屋は京都伏見の旅館。坂本龍馬暗殺未遂事件の舞台となったことで知られる。
 伏見奉行が龍馬を襲撃した際に、後に龍馬の妻となるお龍こと楢崎龍が風呂場から飛び出し危機を知らせたことにより龍馬は九死に一生を得た。
 元々はカナが幕末の歴史的人物に興味を持ち、寺田屋が現存するなら行ってみたいと言い出して、その寺田屋が今でも宿屋として営業していると知り私も興味を持ったものだが、調べていくうちに本物の寺田屋は既に戊辰戦争の鳥羽伏見の戦いで焼失し、今ある建物はレプリカなのだと知ってしまった。
 そうなると不便な中書島までわざわざ足を延ばす価値があるとは思えない。
 京都のほとんどの歴史的神社仏閣が既に1度は火災で焼失し、現在ある建物の多くが再建されたものであると知ってはいるが、それでも寺田屋に関してはちょっと違うような気がする。
 そんなわけで寺田屋には行かない。
 そしてそうこうしているうちにタクシーは京阪線の伏見稲荷駅に到着した。


朱塗りの伏見稲荷駅




4-13懐石カフェ蛙吉(あきち)へ続く


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