5.草津温泉外湯 白旗乃湯
再び
白旗乃湯前。
時刻は5時57分ぐらいで、清掃時間は6時半までとなっていたが中に入ってみたらもう入浴できるようだった。
ただし、お湯はまだ溜まっていない。
白旗乃湯は大きい浴槽と小さい浴槽の二つがあるのだが、大きい方はまったくといってよいほどお湯が入っていなかった。小さい方は普通になみなみと溜まっている。
地元の方が二人、大きい浴槽の前で苦笑しながらこれじゃまだ入れないよねぇとしゃべっている。もう一人奥の小さい浴槽の前で懸命に掛け湯をしている人がいた。
「あら」
「白旗乃湯、来ちゃいました」
さっき
千代の湯で別れたばかりの白濁のお湯を探していた人だった。
「すごく熱いんですよ。入れなくて」
確かに清掃直後の白旗乃湯は熱かった。
樋を伝わる湯口は左右に分かれ大小両方の浴槽にどぼどぼと注がれている。見るからに熱そうだし、実際触ったら熱かった。
昨日の
煮川乃湯や
地蔵乃湯と同じくらい。いや、今のここが一番熱いかも。
でも地蔵乃湯の時間湯を体験したこともある自分。この程度で音を上げちゃいけない。
ざばーんざばーんと勢いよく何度も掛け湯し、いざっと体を沈めた。
うーん、朝の白旗乃湯は効くーっ。
お湯は青緑の絵の具に思いっきり白を混ぜたような綺麗な白濁。草津の他のお湯ではあまり感じられないすべすべとした肌を滑る触感が心地よい。
「よく入れますねぇ」
いやいや、長湯はとても無理。
ある程度入ったらざばっと上がって一息つく。でも本当に熱い時は私は膝下が痛んで入れなくなるんだけど、今朝の白旗乃湯はそこまでじゃない。
地元の人たちも今朝は熱いよなんて話をしていたが、恐る恐る手を入れている彼女にせっかくだから頑張って入れ入れと勧める。
彼女は何度も掛け湯しているうちに「掛け湯は大丈夫になりました」と答え、最後にえいっと肩までつかり、「30秒ぐらいですけど入った。入りましたよね」と笑顔で上がって行った。
私ももう一度だけ入り、それから上がることにした。
熱いお湯は体力を消耗する。
関乃湯と千代の湯では全然感じなかった疲労が一気に押し寄せてきたが、一方気分は爽快そのものだった。