3.草津温泉外湯 関乃湯
地元の方なのか業者の方なのかわからないが、きりっとしたおばさんが立っていて、私をじろっと見た。
そして清掃道具を持ってすたすたと中に入り、既に入浴している人たちに声を掛けて回っている。
「清掃時間だよ。あっ、上がるのはそんなに急がなくていいから」
頭の中が真っ白になって立ち尽くす私。
白旗乃湯独占湯船のことだけ考えて苦手な早起きをしたのになんてタイミングの悪さ。
ぼーっと突っ立つ私にその人は「待ってたって無駄だからね」と冷たいお言葉。
清掃時間とか確認していなかった自分がいけないんだけど、なんか立ち直れない。
しばらく行くと鋭角の曲がり角があり、そこを曲がると湯畑に戻れそうだったので曲がった。
するとその道に小ぢんまりとした外湯を見つけた。
関乃湯だ。
やっと何となく土地勘が戻ってきた。
関乃湯も湯畑から近い。だけどうまいこと町並みに溶け込んでいるし、規模が小さいから気付かない人も多い。
それが昨日の草津温泉感謝祭の派手な暖簾がまだ各外湯に下がっているものだから、今日は思いっきり自己主張している。