◆◇草津温泉と渋温泉◇◆
真夏の外湯巡り
18.草津温泉外湯 煮川乃湯
さて、女神様が去ってとたんに周囲はがやがやと統率のとれないありさまとなった。
もしかしてさっきの
御座乃湯のようにご利益風呂に入れる?
どどっと観光客が入り口に詰めかける。
煮川乃湯のキャパは狭い。
数人で脱衣所はいっぱいだ。
私より先に入っていた人が何人か、さっさとぬいで浴室に向かった。しまった、一番風呂は取れなかったか。
しかし遅れた私が浴室に入ると、入れ違いに先に入った面々は出てきてしまった。
私と同様一足遅れた親子連れが桶で湯を汲みその湯に触って嘆く。熱すぎると。
親子連れも諦めて出てしまった。
何のことは無い、先陣はみな撤退。さすがは煮川。皮が煮えると言われただけある。
熱いとは思ったが、熱すぎて入れないほどではない。
ざばざばと何度も湯を汲んで掛けた。
私と前後してもう一人入ってきた女性が同じように黙って掛け湯を始めた。
これならいける、と私は入った。
木の枠のシンプルな浴槽。お湯はすっきり透明。
新鮮で荒削りな硫黄のにおいがする。
くーっと効く。
これが草津だよー。うん、多分。
もう一人の女性はさらに頭から湯を被り出した。
熱い湯でも頭から掛け湯をする人はそう多くは無い。時間湯の作法を思い出す。この人、できる。
結局入ったのは私とその人の二人だけだった。
後からもう一人若い女性が入ってきて、ちょぼちょぼとお湯を掛けては熱い熱いと言っていたので、例の女性から少しずつだから熱いのよ、もっと勢いよく掛けた方が入れるとアドバイスされていた。
外に出ると最後に入ってきた若い女性の連れなのか、男性がパパにいくつぐらい外湯に入ったんですか?と話しかけてきた。
そういえば今日はまだ一つ目だ。こんなにぐるぐる回っている気がするのに。
どうもタイミングがな。