12.御座之湯の女神様
湯滝から見て左側を時計回りに回った。
するとちょうど反対側。湯畑の一番上流になる部分に草津温泉感謝祭と書かれた仮設のステージが作られていた。たぶん今夜のイベントで使用するのだろう。
あと何故かそのステージの前に女神様の顔出し看板まであった。
そしてその上流側の広場、光泉寺に至る急階段の手前、右側に白木の色も鮮やかな旅館とも公共施設ともつかない立派な和風建築が、左側に屋根つき回廊のようなものに囲われた階段状の広場ができていた。
しばらく草津に来ない間に随分雰囲気が変わっていた。
建物の方は
御座之湯。
去年出来たばかりの公営日帰り温泉だ。
出発前に図書館で最近のガイドブックを捲ったところ、新しく湯畑前に入浴施設が完成したと載っていた。
草津温泉の場合、無料の外湯が充実しているから、特に泊まりの場合はあまり有料の日帰り温泉に入ろうと思わないのだが、新しくできたということで気になってはいた。だからこのチェックイン前の湯畑散策でも寄ってみるつもりがあった。
「あれが御座之湯みたい。行ってみる?」
「いいよ」
ところが私たちが御座之湯に近づくと、ほぼ同時に見覚えのある集団がやはり御座の湯の正面入り口に集結しつつあった。
なんと先ほど躑躅の湯の前で見た女神様ご一行だ。
小さな外湯の一つ
躑躅の湯とは観客の数はけた違いだ。
草津温泉の中心地である湯畑前だから観光客は沢山いる。みんな何だろうというようにわらわらと御座之湯の前に集まってきた。
御座之湯に入ろうと思っていたのにまたまた入れない。