宿に戻るとだださんがおでんを作っていた。
最初は紺碧七シェフが何か作ることになっていたようだが、いつの間にかだださんにバトンタッチしたようだ。
今夜は四万の蕎麦屋の主も姿を見せるはず。
夕食はおでんと蕎麦かな。
さて時刻はまだ4時前だったので、私は特にすることもないならもう一ヶ所共同浴場を巡ってくるかなという気になった。
義満さんは前から、夜には
凪の湯に行きたいと話をしていた。
私は凪の湯は行ったことがあるから別の場所にしよう。
今朝、
白嶺の湯と
巽の湯は行ったから、残りは
翁の湯、
睦の湯、
恵の湯、
こぶしの湯、
町営の湯だ。
睦の湯、恵の湯、こぶしの湯は固まっているし遠いから、今の時間に行くのは適切ではない。
今朝から、いや今回の草津では
大滝乃湯を除いてひたすら湯畑源泉にばかり入っていたから、ここらで万代鉱源泉の町営の湯を攻めるのも有りなんだが、やっぱり時間や自分の怪しい地理感覚を考慮すると、比較的近くて行きやすそうな翁の湯一本に絞るのが良さそうだ。
地理音痴の私は手持ちの地図だけでは心配で、義満さんがプリントアウトしてきた草津の詳細地図も借りていくことにした。
紺碧七さんが「ここなら前にみんなで食事をした篠の近くですよ」と教えてくれたが、悲しいかな私は篠はどんな店だったかは覚えていても、篠がどこにあるのかはよく判っていなかったりする。
地図を片手に歩いていくと、正面からしんたさんが歩いてくるのが見えた。
「あれ?」
「あはは」
笑いながらすれ違う。
ちなみにしんたさんは白旗の湯があまりにひどい混雑なのに恐れをなして結局入らなかったのだそうだ。
幸い途中で道に迷うことはなかった。
みんなにいろいろ教えて貰ったり、義満さんに地図を借りたりしたのが役に立った。
見覚えのある篠の暖簾が見えて、すぐその先に翁の湯はあった。
翁の湯は私は初めてだが、パパは行ったことがあるはずだ。
それも
草津ナウリゾートホテルの敷地内にあるレンタルマンションに泊まったときのことで、私が先に一人で凪の湯に行って、パパも後から同じ凪の湯に行こうとしたところ、道を間違えて翁の湯に行ってしまったというものだ。
パパは中で地元の子供に教えて貰うまで、そこが凪の湯だと信じて入っていた。
確かに凪の湯はホテルみゆきの側にあり、翁の湯はホテルみゆき別館の側にある。