子連れ旅行温泉日記の目次子連れ温泉ガイド地熱愛好会 > 子連れ旅行温泉日記 > 晩秋の草津旅行記 > 2-3温泉と排水問題

晩秋の草津旅行記

3.温泉と排水問題







橋の上から湯川に石灰ミルクを散布して中和している



 吾妻川の流域には何カ所か強い酸性河川が流れ込む場所がある。
 特に標高2,160mの白根山を中心に、西には万座、東には草津があり、それぞれ万座川、大沢川、湯川など、天然の強酸性河川となっている。
 さらに昭和初期からは硫黄採掘のための鉱山排水による公害で、羽根尾から草津に向かう草津道路沿いに流れる遅沢川や大東文化大セミナーハウスの近くに鉱山跡のある今井川なども酸性河川となった。
 これらの酸性水が流れ込む吾妻川は生き物の棲めない死の川と化し、流域の建物や護岸のためのコンクリートも溶かし、もちろん飲料水にも農業用水にも使えなくなっている。
 さらに発電用ダムの水としても適切ではない。何しろ一週間で釘を溶かし、一ヶ月でコンクリートをがたがたにしてしまうような悪魔の水だから。
 これを中和して水質改善を行っているのがこの品木ダム水質管理所だ。
 群馬県の下仁田から石灰を切り出し、75マイクロメートルという微粒子に砕き河川の水に溶かす。こうして出来上がったアルカリ性の石灰ミルクを草津と草津のさらに上流にある香草(かくさ)の二ヶ所の中和工場で酸性河川に散布している。
 ふとこんなことを書きながら思い出したのは2002年の夏の東北旅行で訪ねた田沢湖だ。
 あそこは完全に工業用水にするという目的だけで強酸性の玉川の水を人工的に湖に流し込み、結果として田沢湖の魚類を死滅させたという過去を持っている。
 ちなみに現在は草津の湯川同様中和事業を行っていて、湖には気持ち悪くなるくらい大量のウグイが泳いでいる。

【まさにこの旅行記を書いている間に、温泉業界で水質汚濁防止法による問題が持ち上がっていることを知りました。良かったら読んでみて下さい → 新たな温泉問題ぼっ発!法改正で「源泉かけ流し」が消える!?








2-4百年石の製作体験へ続く


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