子連れ旅行温泉日記

紅葉の温泉を探せ 2-4


4.どうだ天下の滝つぼ風呂


 天然の滝のお風呂というと北海道のカムイワッカを思い出す。
 結婚して半年くらいした頃、夫婦二人で行った。
 初級の沢登りの技術を要するという滝つぼへの道は、温泉成分でずるずると滑り、根性無しの私は半泣きで登った。振り向いて下を見下ろすと、もしつるっと滑って下に落ちて岩で頭を打ったら…と思うとゾッとするような高さだった。
 テニスシューズをはいていたが、途中で脱ぎ捨てた。靴下で登る、草鞋で登るなどいろいろ聞くけれど、自分は足裏でひとつひとつ足をかけられる場所を確かめられるので、裸足が一番マシだと思った。

 それと比較すると川原毛大湯滝は楽ちんだ。きちんと遊歩道が整備されている。遊歩道というくらいだから子供でも歩ける道と言うことだ。危なそうなところには手すりもついているし、急なところは全部階段がつけてある。ただ、ところどころ手すりが壊れていたり、道が崩れていたりするので注意は必要だが。
 3歳のレナでも時間はかかったがほぼ自分で歩いて降りられた(登りになる帰り道は抱っこした)。

川原毛大湯滝の遊歩道
遊歩道はこんな感じ、なんとか子連れでも歩ける


川原毛大湯滝に行く橋見えてきた川原毛大湯滝
この橋を渡るときはちょっと怖い 木々の間に滝が見えてきた



 しばらく歩いてやがて一気に下りの階段が見えてきた頃、滝のほうから喚声が響いてきた。
 こんなに寒いのに物好きは沢山いるんだなぁ。カナが早く早くと先に行ってしまう。一番下まで降りると、うん、こりゃすごい、二本大きな滝が落ちていて、その滝つぼで何人か入浴している。ほとんどの人は水着姿のようだ。甲高い声を上げていたのは若い女性二人組みだった。
 滝つぼから流れ出たお湯はさらに先へ流れていく。その川に掛けられた板を渡しただけの橋を渡り、対岸をちょっと登ると脱衣所の建物があった。
 子供たちを連れてそちらへ向かえば、きゃあきゃあ騒いでいた女性たちがちょうど上がるところだった。寒い寒いと両腕を組み震えながら小走りで脱衣所に飛び込む。…やっぱり寒いのか。
 子供たちも川で遊べることを期待して下ってきたので、とにかく水着に着替えさせよう。まず自分が着替えて、それから寒い寒い、足元が土がつくと騒いでいるカナとレナを水着にする。パパは一人、先に滝つぼへ行ってしまったようだ。地面を歩くなら靴を履くという二人を無理やり裸足にさせて早速降りてみた。レナが怖がるので背負って降りた。
 流れているところに手を入れてみる。温いけど入れないほどではない。先に入っていたパパがカナを連れて行ってくれたので、レナの手を引いて進んだ。途中でおそろいの赤ふんどしをした男性二人が記念撮影をしてほしいとカメラを渡された。うーん仁王立ちが似合う滝つぼだ。


こんな感じの天然の滝です いい感じの滝つぼがあるでしょ。
どう? 入ってみたい?




 ところがさあゆっくり入ろうと思ったのもつかの間、先に入っていたカナが泣き出した。痛い痛いと言うのだ。この滝の湯は酸性泉。傷などあるとかなり沁みる。入っていれば逆に治るよと言ったけど聞かない。わんわんと泣き出す。こりゃ駄目だ。
 出る出ると騒ぐので、仕方なくパパが脱衣所のほうへ連れて行った。あとに残されたのはレナと私。とりあえずしばらく浸かってみる。おおっと、レナ、持ってきた人形を下流に流さないでくれ。拾いに行くのが大変。それにいくら水中めがねをしていても、潜るのは絶対やめた方がいいってばー。
 しばらく待ってもパパとカナが戻ってこないので、あきらめて出ることにした。レナはまだ入っていたいと言っていたけど立ち上がらせる。うわあ、寒い。結局酸性泉だから塩泉などと違ってあまり温まらないのだ。元々いつの季節に来てもそんなに熱いお湯とは思えないから、ベストシーズンが夏だけというのは、つまり上がった時に寒くないのが良い季節だということなのだろう。入っているときはぬるめの温泉~という感じで良いのだけど、上がるとがたがたぶるぶるだー。

川原毛大湯滝の記念写真川原毛大湯滝のレナ
中央、トレードマークのねじり鉢巻がパパ、
カナとレナとパパと三人で川原毛に入った証拠写真 お姉ちゃんはともかく、レナはもっとゆっくり入っていたかったよ



2-5.小安峡の案山子へ続く


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