秋の駒ヶ根キャンプオフ日記 三日目


9月22日(日)

 天気予報は雨が降らなければ幸いというくらいの下り坂を示していたし、昨夜の空だって、お月様は笠をかぶり、星はごくまれに雲の切れ間から存在を示すだけだった。
 それでも、もしかしたら青空が出ているかも。朝一番のロープウェイで紅葉の駒ケ岳千畳敷カールを見に行くことができるかも、と、淡い期待を抱いて、朝の5時過ぎには目を覚ましてしまった。

 テントのファスナーを開けて、ひんやりと湿った外に出てみれば、やはり奇跡は起きず、灰色の厚い雲が空一面に広がっているだけだった。
 雲の位置は高く、山々は見えるが、それでも全員が一人当たり往復4000円ほどを払って上に上る決意をするほどにはとても思えない。
 駄目だったか。

 顔を洗ったり、昨夜のあと片づけをしているうちに、一人二人と起きだした。ねぼけまなこをこすりながら、おはようと挨拶を交わす。


 この画像の青い部分は、青空ではなく、タープの色。
 やっぱり千畳敷カールはあきらめようなんて話をみんなでした。
 悔しいなぁ。悔しいけど…
「よーし、来年リベンジだーっ」
「へ?」
「は?」
「なんやて?」
「来年もこの時期に駒ヶ根でオフするぞ!!」
でもって、晴れたら千畳敷カールに行くんだ。そうだ。そうしよう。それがいい。

 朝食を食べて、今日の予定を決める。
 どこかで雨が降ってくるといけないから、朝一番で、果物狩りに行こう。そのあとでマルスウィスキーの工場見学なんてどうかな。


 駒ヶ根の隣のICである松川まで行けば、果物狩りをさせてくれる農園は道沿いにたくさん並んでいる。
 が、駒ヶ根にも観光農園はあるみたい。選んだのはフルーツランド熊沢農園。ここの良いところは、入場料一人800円を払うと、このシーズンはりんご、梨、ぶどうの三種類がどれでも食べ放題になること。大勢いるときは、別の果物を食べたいと思うかもしれないし。


 入り口で入場料を払うと、大小のかごと、はさみとナイフ、ござなどを貸してくれる。係りの人が食べても良い木、食べごろの見分け方などを教えてくれる。
 昨日の今田平のぶどう狩りと違って、朝でももうちらほら家族連れやグループが狩りをしている。東北でりんご狩りを、昨日、ぶどう狩りをしたから、今日は梨を食べたい気分。


 りんごは5種類くらいの品種がある。梨は二十世紀、ぶどうはアーリーステューベンとマスカット(巨峰もあるけど、巨峰だけ食べ放題じゃなくて別料金)。
 子供たちはまあ、食べること食べること。

 食べ終わって外に出てみれば、遠くに駒ケ岳が見える。バックは灰色だけど、千畳敷も見える。見えるけど登っても、灰色じゃあなー。やっぱり来年再トライだ。

 そのまま次は、マルスウィスキーの工場へ。


 工場見学は、係りの人が説明してくれたり、現在動いているラインを見たりできるのかと思ったが、受付で名前を書いたら、あとは順路どおり勝手に見てくださいというシステムだった。


 試飲コーナーは、観光バスで着いたグループで混雑していたが、見学コースはほとんど人がいなかった。

 試飲は、ウィスキーのほかに、子供やアルコールが苦手な人のために、巨峰のジュースなども置いてあった。ここはハーブガーデンなどもある。

 マルスウィスキーから、駒ヶ根高原家族旅行村まではすぐだ。
 一度キャンプ場に戻って、男性陣が買出しをしてきた。
 果物狩りで中途半端におなかいっぱいになっていたが、時間はそろそろ二時。みんなおやつが食べたい気分。

 大阪のなんのさんが、今夜たこ焼きを焼こうという話になっていた。でもどうせなら、今たこ焼きにしようよと、話がまとまった。
 なんのさんが粉を流しいれる役で、れもん家のパパと子供たちが具を入れてくれる。


 さあ、どんどん焼くぞー、と、なんのさん。


 どうです。本職顔負け?
 いい感じです。焼きたては美味し~い。

 たこ焼きをたべているうちに、時間も3時半を過ぎて、そのままのんびりしていると、なんとなく夕食の時間になった。
 今日もゲストの疾風君は凄い手土産を持って遊びにきてくれた。
 鍋用のイノシシ肉と、刺身用の鹿肉だ。疾風君、ありがとうー!!


 キャンプ場から見る夕焼け。
 薄暗かったあたりが、急に明るくなったから、タープの外に出てみたら、空一面がピンク色だった。綺麗だなぁ。

 鍋は二種類。イノシシの味噌味と、鶏団子のしょうゆ味。どちらがお好み?


 とにかく鹿刺しが絶品。美味しいよー。
 イノシシもあまりにたくさんあるので鍋に入りきれず、網で焼いた。特に脂身をかりかりにかりかりに焼いたところが美味しい。

 子供たちは子供たちだけで遊びに夢中。
 ペグ打ちにつかったハンマーで発掘ごっこ。きらきらする石を掘り出してご満悦。

 今日は昼間からキャンプ場のテーブル周りに全員集っていたので、外の温泉には行かれなかった。レナが疲れて寝てしまったから交代で昨日と同じ早太郎温泉 露天こぶしの湯に行こう。


 ここは旅行村の施設だが、キャンプ場を利用していても特に割引などは無い。ちょうど一年ほど前にできたばかりでまだ綺麗。夜は9時までとなっているが、9時には全員退館してほしいらしく、入浴受付は8時まで。さらにぎりぎりに来ると、8時45分までには上がってくださいねと念を押される。

 最後に風呂に向かった私が着いたのは7時59分。入り口には早々と「夜8時で入浴受付は終了しました」と立て札が立っている。
 まだ8時前だからと階段を登り、入らせてもらうことにした。カナはパパと入ったので今日は私一人。少しはゆっくりできそうだ。

 と思ったらとんでもない。
 昨日以上の大混雑。脱衣所も浴室も人でいっぱいだ。


 人が多くてとても浴室の写真など撮れないので、これは外から。
 ちょうど三角屋根の下に露天風呂がある。

 露天風呂の岩風呂に、騒がしい子連れのグループがいてやりたい放題だったので、内湯に行った。内湯は露天風呂に比べてカルキ臭はほとんど無い感じだけど、やはりほとんど特徴の無い湯。
 入っているときは感じないが、湯上りはかなりすべすべするかな。

 キャンプ場に戻ると、疾風くんはお帰りになってしまったが、今日は先に寝ちゃった大人はいない。みんなで炭火を囲んだ。

 明日は最終日。予報は朝、雨がぱらつくかもとのこと。
 ぬれたらまずいものは、タープの下から、車の中などに移しておこう。雨の中のテントの撤収だけは嫌だな。
 どうか帰るまで雨が降りませんように。

つづく


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