◇◆秋の北志賀小旅行◆◇
「で、夕食はどうする?」
もう宿まであと10分ぐらいだろうという場所まで来て、パパが言った。
当選した宿は木島平温泉観光ホテル。
当選内容は2名一室の素泊まりだったため、電話して子供の分を追加してあるが、食事は無い。
朝ご飯は車の中でパンでも食べさせれば良いが、夕御飯は外食する必要がある。
温泉街なら最悪飲み屋かラーメン屋ぐらいあるかと思うが、ちょっと今夜泊まる宿の周辺環境はよく判らない。
そこで近隣で夕食を食べられる店を探そうと、きょろきょろし出したときに携帯電話が鳴った。
宿からだった。
「何時頃到着されますか?」
「ああ、あと10分ぐらいです」
そう伝えたとき、パパが今通り過ぎた店、ちょっとチェックしてきてと言った。
T字路の角に建っていたのは木島平村の観光交流センターたかやしろ。
観光情報や土産物を扱うほか、蕎麦などを食べられる食堂が併設されていた。
パパはここで夕食が食べられないかと思ったらしい。
営業時間を聞いてきてくれと言う。
食堂は樽滝という蕎麦屋になっていた。
お客さんが一人だけ食事中。
従業員の方に営業時間を聞くと、5時頃までだと言う。
「いえね、泊まる宿に食事をつけていないので、どこかこの辺で夕食が食べられる場所がないかと探しているんです」
それは大変ねぇと従業員の女性は、国道沿いを少し進んだ所に、「肴屋」という飲み屋があり、さらに進むと「もりもり」という焼鳥屋があると親切に教えてくれた。その辺りなら何か食べられるだろうと。
私が一通り聞いて、お礼を言っているところにパパがやってきた。
営業時間だけ聞いているにしては遅いと痺れを切らしたらしい。
パパは土産物屋でちょっと買い物をして、ついでに土産物屋のレジのおじさんにも食事処を聞いた。
おじさんは木島平周辺見所MAPというペーパーを出してきて、さらに肴屋ともりもり以外の店についても教えてくれた。
私とパパは車の所に戻って、長野の人たちは親切だねぇと肯き合った。