キッザニア X キッザニア 夏の終わりのキッザニア

*09*



私がモスバーガーを買い終わった7時57分。
気が付くとカナの並んだボトリング工場だけでなく、食品開発センター、お菓子工場、パン工場といった食べ物通りのめぼしいパビリオンは募集を終了していた。
そろそろ閉園1時間前だ。

ぐるりと歩いて回ると、テレビ局は募集中、バスガイドも募集中、宅配センターは終了、ピザは募集中、ガードマンは終了、警察署も終了、カーエリアはガソリンスタンド(と、もしかしたら運転免許試験場も)のみ終了でカーメンテやカーディーラーは募集中、空港はキャビンアテンダントとパイロットは終了、8時20分に締め切るパレードダンサーはちらほら並び始めている。・・・と、意外なところを含めてまだまだ求人は残っていた。

だからこの時間帯に諦めてはいけない。






スーパーバイザーは看板を裏返した
レナが印刷工房でキッザニアデパートのポスターを作って出てきたのは8時16分。

かなりぎりぎりの線だ。
たぶんまだどこか次の仕事は見つかるだろうけど、ぼやぼやしていたら何も無くなるかもしれない。
急がなくては。

「次が最後のお仕事になるよ。急いでどこか探そう」
カナの時とは違ってせっぱ詰まっている。
迷っている暇はない。ここでは一刻を争う。

レナと2階の廊下を急いだ。
もう未体験ワークに拘らないとは言え、できれば最近やったお仕事は避けたい。

病院の前を通りかかった。
病院の看板は、上から「薬局(薬剤師)」「内視鏡手術」「開腹手術」「新生児室(赤ちゃんのお世話)」「救急救命室(傷病者の救助)」と書かれたパネルが貼ってある。それぞれに定員や体験時間の目安が書かれている。
このパネルのそれぞれのところに、もう「募集終了」と書かれた紙がぺたぺたといくつも貼り付けられていた。

ん?
ちょっと見にはうっかり見過ごしてしまいそうだが、内視鏡手術の所だけ、ぽっかりと「募集終了」が無い。
思わずちょうど出てきたスーパーバイザーに、「まだ内視鏡手術は募集していますか?」と聞いてしまった。

「あと一人だけなんですが」
内視鏡手術の定員は2名。
「やる」とレナ。

はい、最後の一人ねとスーパーバイザーはレナの首に札を掛けて、病院の看板自体をひっくり返してしまった。
看板の裏には、「最後のメンバーが決まりました。ご来院ありがとうございました」と、本日の病院の受付は無情にも全て終了した旨記載されていた。

そこへタッチの差で二人の女の子が来て、病院に空きは無いか聞いた。
その直ぐ後にもう一人男の子が来て、やはり空きは無いか聞いた。

残念ながら最後の一人は決まってしまったばかりだ。
レナは内視鏡手術の医師を最後のお仕事に選んだ。



最後のお仕事が決まったところで、レナはハッと思い出した。

「携帯、返さなきゃ」
ちょっと青くなる。
「内視鏡手術のお仕事、終わったら9時過ぎるって言われたよ。携帯返す時間に間に合わないよ」

・・・確か借りるときに言われていなかったっけ?
もし帰す時間に並んでいたりお仕事中だったりしたら、担当のスーパーバイザーに相談しなさい、と。

レナは受け付けてくれた病院のスーパーバイザーに携帯電話のことを説明すると、スーパーバイザーは「どうぞ返してきて下さい」と言ってくれた。
トイレと同じ扱いで、順番はキープしたまま返させてくれるみたい。
良かった〜。頼んでみるものだ。



私はさっきのライスロールだけではお腹が空いてしまったので、デリカテッセンでミネストローネを買って食べた。

私が食べている間にカナのお仕事はもう始まっていて、6人の子供たちは、ペットボトルをリサイクルして作ったエコなユニフォーム姿でボトリング工場に入っていた。

ここは作業自体は非常に簡単で、人によっては(レナがそうだった)詰まらないかもしれない。
でもコカコーラがこうやってできるんだ、とか、この機械はこんな仕事をするんだ、とか、そういうことに興味がある子供には楽しい場所だと思う。
単純にコカコーラを作るのが楽しいと思う子供もいると思うし。

ペットボトルは洗浄して、光に透かして汚れがないか確かめ、原液を注入し、水を加えて希釈し、急冷機で一気に冷却する。
最後に1、2、3と上下にゆっくり振り原液と水を均一に混ぜ合わせる。

炭酸嫌いのカナ。もしかしてこのコーラもパパへのプレゼントに?





8時42分にボトリング工場を出てきたカナは、何だかトイレに行きたそう。

私なんかにすれば、ボトリング工場を待っているときが今日一番長い待ち時間だったのだから、このときにトイレに行かせて貰えば良かったのにと思う。

でもカナは待っている間は言い出せなくて我慢していたみたいだ。

そこでまずトイレに行かせて、それから2階に上がり、病院斜め前のピザーラの座席で買っておいたモスバーガーを食べさせた。

ちょうどその頃、レナは手術中。





レナの仕事ぶりを見ていると、スィープパレードの音楽が聞こえてきた。



レナの手術が終わったのは8時55分。
1階の病院出口で彼女をピックアップして、カナの待つ2階の座席へ連れていった。
レナにも急いでモスバーガーを食べてもらわないと。

レナが食べはじめてすぐに、中央広場前のバルコニーで鐘が鳴らされ、最後の街時計のメロディーが流れてきた。

夏休み最後のキッザニアもこれで閉園。




キッザニアのATMは適当な数字を四桁入れれば引き出せる。
毎回違う数字を入れても大丈夫だよ。

二人が今回キッザニアデパートで買った商品は、この画像にマウスを置いてみてね。
内訳は、二本のスーパーecoレインボー鉛筆はカナとレナがそれぞれパパへのプレゼント、クローバーのハンカチとハイビスカスのお箸はレナからカナへのプレゼント、イルカの親子のマスコットはカナからレナへのプレゼント
本日の成果

カナ 携帯電話ショップ、はんこ屋、花屋、インテリアプランナー、デパートショッピング、科学研究所、街時計、ビジネススクール、ボトリング工場の9つ

レナ 携帯電話ショップ、額縁屋、観光バスの客、料理スタジオ、科学研究所、デパートショッピング、ビューティーサロン店員、印刷工房、内視鏡手術の9つ

これだけ効率よく回れたのは、今までの「未体験ワーク優先」という縛りが無くなったためかもしれない。ツイていたっていうのもあるけど。

また、これだけ待ち時間ゼロタイミングで回ったにも関わらず、せいぜいが10個(もしボトリングを入れずに他を入れていたら)ということは、やはり相当ラッキー続きじゃないと二桁は無理、通常は5つ前後でいっぱいということだろう。

ところで、ここでレナ自身がカナに金欠であることを暴露してしまった。
「もうe-キッゾカードは空だし、現金もほとんど残ってない」

そこで私の出番。
「そんなはず無いだろう。だって姉妹で同じ回数キッザニアに来て、ほとんど同じくらいお仕事して、カナの方がこれまでにデパートでいっぱい買っているんだよ。でもカナはそこまで貧乏じゃないよ」
レナ、腑に落ちない顔をする。

「・・・レナ、キミの財産はe-キッゾカードと現金だけじゃないぞ。銀行に残額がいくら入っているか見てみたらいい」
そこでレナは目の前のATMに銀行カードを入れてみた。

「369キッゾ入ってたー!!」
キッザニア銀行の利子は驚異の10%金利。
2月、8月に利子は入金される。
レナはカナより沢山銀行に預けていたのだ。
でも銀行に預けたってこと自体を失念するってどうかね。
まったく人生の先行きが心配だよ〜。


おしまい


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