伊豆高原日記 秋の海へGO 初日


10月19日(土)

 先週は三連休だったが、カナの幼稚園の運動会が入っていたので、お出かけはできなかった。三日とも全国的に晴天で、主だった山では紅葉と渋滞の全盛期だったらしい。

 さて、それでどこへも行かれませんでしたでは悔しいので、一週間遅れで旅行の計画を立てた。なぜかこの時期なのに紅葉に縁のなさそうな伊豆を選んでしまうのが我が家らしい。
 けれど、伊豆半島では10月からミカン狩りもできるのだ。要チェック。



 運動会で晴れパワーを使い果たしてしまったのか、それとも海に行く日はお日様と縁が無いのか、朝から景色は灰色一色。
 事前の天気予報では三日とも曇りと雨。初日の今日が一番マシらしく、雨の降らない可能性も高そうだ。
 東名高速、小田原厚木道路と来て、左手に海を見ながら走る。こんな天気でも、サーフボードを抱えた人たちは、元気なようだ。海坊主のように転々と頭が浮いているのが見える。

 当初立てた計画では、早朝東京を発ち、真っ直ぐ東伊豆の北川まで行って、海際の露天風呂、黒根岩風呂に入るつもりだった。
 この温泉は、昼間は湯をぬいてあって、朝と夕方(休日は午後から)しか入れない。
 が、しかし、三日間のうち今日が一番天気がいいとすると、雨が降る前にミカン狩りをしてしまった方がいいし、ミカン狩り農園の集中する宇佐美に先に寄ってしまうと、朝の入浴時間には間に合わない。

 ミカン狩りを優先することにした。
 週末は混むという黒根岩風呂は最終日のお楽しみに取っておくことにしよう。

 宇佐美の駅から山のほうへ少し行くと、オレンジロードと名づけられたミカン狩り農園が集中するエリアがある。
 そこを目指したつもりが、どうも違うところに迷い込んだらしい。車を降りて、「この辺でミカン狩りができるところはありませんか」と、聞いてみたら、地元の方が正しい道順を親切に教えてくださり、さらに、「斉藤農園が甘いよ」とアドバイス。
 そこで我が家は、今の方は斉藤農園のお友達か親戚かもね、と言いながらも、真っ直ぐ斉藤農園へ。


 オレンジロードの右側最奥が斉藤農園。地ビールの飲める御食事どころも併設されている。
 お土産無しのミカン食べ放題は一人300円。


 汚さないようにエプロンつけたよ。ママ、早くねー。
 ミカンいっぱい食べるよー。


 ミカンは日当たりの良い斜面を利用して作られる。
 色が黄色くて、触ってみて柔らかいものが食べごろだそうだ。
 今の時期は早稲ミカン。冬になると、一般的な温州みかんが実る。 
 
 ミカン狩りの良いところは、木が低いので子供にも手が届くところ。またその反面、枝にしっかりくっついているので、子供の力ではなかなかはずれない。
 先月五歳になったカナは、車の中で作った紙製のドールハウスが気になるらしく、最初はすぐ帰って人形遊びしたいと言っていたが、なだめすかして一房口に入れたら、次々食べだした。

 二歳のレナはもう夢中だ。もっともっとー。早く早くー。

 果物はほとんど好きだが、温州みかんだけはちょっと苦手気味の私だったが、やはり自分で選んで木からもぐと、美味しく感じるのか、結構食べてしまった。
 早稲だからそんなに甘くないかと思っていたが、割と甘みもあるし、味が濃い。
 斜面からは遠くにちらりと海も見える。花も沢山植えてあって、コスモスが綺麗だった。



 味覚狩りのあとは、いつものように温泉だね。
 時間は既に9時をまわっていて、黒根岩風呂には間に合わない。
 赤沢の露天風呂や、大川の磯の湯という選択もありだが、選んだのは、ちゃんと脱衣所などもあり、浴槽は男女別。それでいて、海もよく見えるロケーションの、熱川温泉 高磯の湯
 赤沢温泉は混浴なだけじゃなく、脱衣所も何もなさそうだし、大川温泉は海がよく見えないようだったので。


 高磯の湯は、東伊豆の著名な海沿い公衆浴場である他の三つに比べて、国道から少し離れたところにある。
 熱川温泉の中をつっきり、熱川バナナワニ園の横を抜けて、海へ降りる。
 高磯の湯近辺から振り返ると、高層ホテルと椰子の木と海という、南国ムードの熱川らしい風景。

 高磯の湯は、夏場はプールも営業しているので、今の時期は水を抜いた青い底だけが三つほど並んでいる。
 その奥に温泉浴槽が男女別にある。目隠しは完璧で、陸側からのぞかれる心配は無し。

 料金を払って、露天風呂へ向かったら、なんと日が差してきた。明るくなると急に暑くなる。今日は一日曇天か雨だと思っていたのに、ちょっとラッキー。

 脱衣所はふきぬけだが清潔で、板張りの床は一部張り替えたばかりで綺麗だ。子供向けの配慮は無いが、広さもあるので、タオルなどを敷けば赤ちゃんでも使えるかもしれない。

 ぱらぱらと先客が居たが、一人を残してすぐ上がってしまった。土曜日だが、空いていて嬉しい。
 浴槽は浅めで、湯はぬるめ。底や周りの石も丸みを帯びていて、子供づれでも苦労は無い。


 残念なのは、やはり浴槽に入ったままでほとんど海が見えないこと。鉄の囲いもあるが、それより浴槽から囲いまでの距離が離れすぎているのだ。
 立ち上がって囲いまで歩み寄れば、ほら、上の画像のように岩に砕け散る波もよく見える。
 とはいえ、開放感は抜群。いい気持ち。

 湯は無色透明で、ごくわずかに細かい白っぽい湯の花。肌触りはきしきし感あり。味はごくごく薄ーい、雑味の無いシンプルな塩味。臭いをかいだら、一瞬強い柑橘系の臭いがしてびっくりしたが、失敗失敗、これはさっきのミカン狩りの名残だった(笑)。これまたごく薄い灯油臭に海の臭いが混じった感じ。
 湯上りは非常につるつるする。美肌系だ。

 そろそろお昼時なので、伊豆高原に向かおう。
 石焼き猟師めしメニューに惹かれて、伊豆高原ビールの「うまいもん処」へ。
 ここは温泉、高原の湯も併設されているが、お風呂は入ったばかりなので、食事だけ。
 店内は小奇麗で、従業員の方もみな、子供づれに気を遣ってくださり、助かった。石焼き猟師めしもなかなかだったけど、アジのユッケが抜群。やっぱり伊豆は海鮮が美味しいね。



 チェックインまでまだ少しあったので、城ヶ崎の門脇崎灯台と門脇吊り橋を見に行くことにした。
 灯台は子供たちも、抱っこといわず自力で上り下り。上まで行ってもまったく窓が開閉できないのがちょっと辛い。カナは暑い暑いと不平たらたら(笑)。



 吊り橋はどきどき。
 たったと走って渡り始めたレナに、警備員さんも冷や冷や。


 ほら、断崖絶壁。頼むからロープの隙間から足を滑らせないでね。
 でも伊豆の海って綺麗だなぁ。

 二時半になったので、宿にチェックイン。
 ここは東京都某区の保養施設で、区民または在勤、在学者及びその同行者しか利用できない。
 一応ちゃんとした温泉で、源泉は伊東市富戸字三野原というところにあるらしい。カルシウム・ナトリウム-塩化物-硫酸塩温泉。区民は宿泊だけでなく、立ち寄り利用も可能だ。

 内湯だけで露天風呂は無い。循環はしているようだが、なかなか良い湯。
 熱め設定なので長湯はできないが、子供でも嫌がらずに入れる温度だ。
 深さはそれほど深くなく、無色透明。ごくわずかに細かい白っぽい湯の花が漂っている。味は高磯の湯より少し濃い塩味。こちらは雑味もあって、ミネラル塩のような味。臭いは出汁の臭い。それもカツオじゃなくて昆布出汁。この味と臭いなら、源泉で煮物をしたら結構美味しいかも(笑)。


 ジャグジーもついている。
 湯口の周りはゴビゴビと白い結晶がこびりついて固まっている。カルシウムが泉質名の頭につくだけあるか。

 今朝は早かったから、あとはゆっくりしよう。
 明日はいよいよ雨が降るのかな。
 ニュースを見ていたら、色とりどりの傘が行き交う渋谷のスクランブル交差点が移った。東京はもう降り出しているんだ。明日雨が降ったらどこへ行こうかな。


つづく


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