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◆◇レンタルキャンピングカーで北海道◇◆
北海道キャンプ旅行記

19.十勝川の河川敷






 ローソン前でタクシーを降りると、斜め右前方の細い道に向かってぞろぞろと歩いている人たちが見える。
 あの列についていけばいいらしい。





 道は河川敷に続いていた。
 土手には等間隔に提灯がぶるさげられ、黄昏てきた空の下、ほんのりと灯りがついているのが判る。
 歩いている人の行列は斜めに土手を登る道に続いている。
 まあ行列と言っても東京や神奈川で行われる花火大会と比べてはいけない。
 土手の上から河川敷を見下ろすと、日の暮れかけた広い芝生が見え、河川敷に至る斜面はコンクリートの段々になっていた。
 ちょうどこのコンクリがまるであつらえた座席のようだ。
 レジャーシートを敷いたりキャンプ用の椅子を置いたりしている花火客がまばらにいる。
 本当に東京近郊の花火大会だったらとてもこんなに呑気な場所取りはできないから羨ましいくらいだ。

 打ち上げ会場は川を正面に見て右手のようだ。
 反対の左手には十勝大橋のくっきりと二等辺三角形を形作っているケーブルがシルエットになり、その手前の河川敷には多くの屋台が店を広げている。
 橋の向こうは臨時の駐車場になっているようだ。
 あーあ、そのことが昼間のうちに判っていたら、コインパーキングでは無くここにキャンピングカーを停めたのに。

 頭上の空は広い。
 そして雲がとても速い。
 残照の残る橋の方は比較的晴れているように見えるが、不安なのは打ち上げ場所に近い右手。既に日が当たらなくなっているからより、そう見えるのか、とにかく黒い。嫌な暗さだ。


これは土手に上がる前、タクシーを降りた交差点付近で見た雲



 今年の花火大会には祟られた。
 突然当日にレナが行きたいと言ったことから東京の隅田川花火大会に出かけたのだが、とにかく思いつきで出かけたもので場所など調べる余裕も無く、とりあえず第二会場の花火が見えると言う両国で地下鉄を降りて、人の流れに乗って適当な場所にレジャーシートを敷いたものの、もうとにかく凄い人、人、人。当たり前か、天下の隅田川花火大会だから。

 しかし問題はそれからだった。
 時間になってもいっこうに花火が上がる様子は無く、まあ第二会場は第一会場よりは遅く上がり始めるらしいんだけどそれにしても遅く、スマホで動画など見るともう第一会場では上がり始めている模様で変だなといぶかしく思う。
 そのうちようやく座っているところにも花火らしい音が聞こえてきたものの、全然見えない。ビルの向こう側に時々光っているものがあるのでそれが花火なのかなと思うけれど、こんなに大勢の花火客が場所取りして待っているのにそこからビルが邪魔で見えないとかありえない。
 そうこうしているうちに、蒸し暑かったそこに場違いな冷やりとした一陣の風が通り過ぎた。
 何だか胸の奥からじわりと嫌な予感が湧きあがってくる。
 がやがやと喧騒しか聞こえなかった周囲に急に街路樹がざわめく音がした。ぎょっとして立ち上がる。自分だけでなく周囲の人たちも不安げにきょろきょろし始める。
 誰かが雷だと口にした。
 えっ、まさかあの花火だとばかり思っていた音とビルの向こうに時々光るあれは雷鳴と稲光?
 やばいやばいと頭の中で警報が鳴る。でもせっかく花火を見にわざわざ出てきたし、何とか場所も取れたし、周りの人もみんな帰る様子が無い。そりゃそうだよね、場所取りに苦労したんだもの。
 迷っていると、いつもは優柔不断なレナが突然「帰ろう!」と立ち上がった。


十勝川の河川敷



 後ろ髪を引かれる思いでレジャーシートを撤収して、これから花火大会会場へと向かう人の波とは逆方向に歩き、そそくさと地下鉄の駅へ。
 一番怖いのは、いきなりバケツをひっくり返したような雨が降り始めて、あのとんでもない人数の花火客が一斉に狭い地下鉄の入口に殺到することだった。
 果たしてこの決断は正しかったのか、その時はまだ判らなかったが、およそ数分後のtwitterでは阿鼻叫喚のコメントが飛び交っていた。
 ワンセグで花火大会の中継を見れば、笑うしかない世紀の大惨事。
 乗った都営浅草線も二つほど先の駅からはずぶぬれの乗客が乗り始めた。

 まあそんな体験をしちゃったからこそ、この帯広の道新十勝川花火大会会場の黒雲にもいつも以上に敏感になったりするわけだ。

3-20突然の豪雨へ続く


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