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榛名湖日記ファイナル3-8


8.心の中のキャンドルはいつまでも消えない

 何もかも終わって帰路に着く。
 真っ暗な中、ヘッドライトに浮かび上がるように舞い踊る雪。
 初穂の湯から沼田ICまではすぐ。
 高速に乗れば東京までは2時間とかからないだろう。

 行きと同じで赤城高原を過ぎると雪はやんだ。
 ちょうどこの辺りが雪雲の切れ目。
 お腹がいっぱいになってお風呂で温まったレナは、すっかり後部座席で夢の中。カナだけが起きている。

 冬の澄んだ空気の中、車窓から見る夜景が綺麗だなと思ったら、ちょうど渋川・伊香保ICの手前で、フロントガラス一面にきらめく街の灯りが広がった。
 今まで何度も群馬に来たけれど、この時間にここを通ったことは一度も無かった。
 こんなに美しい場所があったのね。

 まるで地上の星の中に入っていくよう。

 この灯りのどこかに管理人さんたちのうちもあるかもしれない。
 暖かく灯った光の下で、今頃何をしていらっしゃるだろうか。
 なんのために旅に出るのか。
 それはたぶん、どこかで誰かと出会うため。
 何もかも明日には思い出になってしまうけれど、私たちは榛名湖を知ることができて良かった。他の場所にも他の湖があるだろう。けれどこの出会いは無かったはず。




 最後に昨夜のアイスキャンドルを見て、管理人さんが書いてくださった詩を載せて、この日記を終わりにしたい。



  名残り
  雪に置かれた氷のランプ
  チロチロやさしく灯ります
  此れはパパの
  其れはママの
  彼れはカナの
  そしてレナの
  氷のランプは静かに
  やさしく湖畔の宿に
  灯ります






おしまい


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