子連れ旅行温泉日記

雪見露天風呂紀行【榛名湖日記8】2-6


6.中島屋でのひととき

 ちょうどお昼時だったので、そのちょっとの間に座敷席は埋まってしまっていた。
 椅子席はひとつ空いていたが、子供連れなので座敷が空くまで待たせてもらおうかと思ったら、中島屋サイトの画像で見たことのあるしゃきしゃきとした女将さんが、ちょっと考えてからどうぞこちらへと奥へ案内してくださった。
 外からは隣の店だと思った土産屋は中で蕎麦屋と繋がっており、先ほど駐車場を教えてくださったご主人が、その奥の和室で寛いでおられた。どうもこの部屋は、基本的に蕎麦屋の座敷ではなく、中島屋のプライベートルームらしい。

 部屋の中央には炬燵があり、壁には箪笥。家族の写真などが飾られている。ミッキーマウスの座布団が敷かれているからと、足の悪いご主人の椅子に座りたがる子供たちをなだめて、メニューを選ぶ。
 蕎麦と丼のセットをひとつ、蕎麦セットをひとつ、パパのビールを一杯。
 長野から届いたという甘く煮た豆を子供たちは美味しい美味しいと競って食べる。出てきた蕎麦もしこしことして美味しいし、セットについてきた親子丼がまた絶品。四万の蕎麦屋って、凄くレベルが高い。
 焼酎の蕎麦湯割りなんていうのもある。パパがとてもさっぱりして美味しいと言った。


花いんげん豆を甘く煮た突き出し どう見ても客席ではなくプライベートルーム…
中島屋さん、ありがとうございました


 実はキャンペーンに当選したんです、と言うと、若主人も出てきてくださって、忙しい中いろいろお話を聞かせてくださった。
 四万草津のようなネームバリューがなく、昔は県内のお客さんがほとんどだったとか、毎年湯治に来るお客さんは予約なんかしなくてもいつもの部屋が空けてあったものだとか、雪に閉ざされる冬は湯治客もいないので店を閉めて、出稼ぎに行くような土地柄だったとか、興味深い話を沢山聞くことができた。
 生まれたときからずっと温泉にいると、四万温泉が一番良いと思えて、他の温泉に行く気がしないんだよと仰った言葉が印象的だった。

 …本当に、四万温泉なら判る気がする。どこよりも良いお湯だって。

 私が温泉に取り立てて興味が無かった頃、四万温泉の名を初めて聞いたのはお姑さんからだった。パパのおばあちゃんが、毎年四万へ湯治に行っていたと思い出話をしてくれたのだ。
 だから四万といえば湯治場なのだというイメージがずっとあった。
 パパはいずれリタイヤしたらどこかの湯治場でのんびり湯治生活をするのが夢なのだそうだ。
 じゃあやっぱり四万で湯治かな。

 お蕎麦も美味しかったがとても気持ちの良い店だった。
 外へ出るとまだ雪は降り続いていた。
 山口露天風呂を出たときには、今日の温泉はこれで終わりかなと思ったが、中島屋に着いてみると、共同浴場の河原の湯が近いことに気づいた。中島屋の若主人も、四万に住んでいる他の地区の人もわざわざ入りに来るぐらい、河原の湯は良いと仰ったので、河原の湯に入ってから帰ることにしよう。


こちらは蕎麦と親子丼のセット
この丼の卵の火の通り具合がなんとも絶妙。
そこんじょそこらで食べられるものではありませんですよ。 こちらは蕎麦のセット
どうです? 食べたくなってきたでしょう
それでは四万へ行ってみて下さい。
中島屋さんです。お間違いの無い様。




2-7.雪の積善館、雪の河原の湯へ続く


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