◆◇夏休み函館紀行◇◆
母娘函館観光旅行記
夕ご飯はあまり選択肢が無い。
ホテルのバイキングか、売店で売っているカップラーメン・・・この二択だと落差が激しすぎるか。
細身の食欲魔人カナはバイキングに行きたくてしょうがないが、レナは疲れてあまり食欲がないし、私は出発前に体調を崩したこともあって沢山食べるのはご法度だ。
おっとバイキングとカップラーメンの他にも選択肢があった。
エレベーターにちらしが貼ってあったが、浴室と同じ階にあるラウンジすずらんでホテル特製うにカレー、鮭いくら丼、はこだて塩ラーメンのいずれかが食べられる。
今朝の函館朝市のようなお得感はとうてい味わえないだろうが、分量的には満足できるのではないか。
エレベーターに乗ると、窓からさっきお風呂で見た池の端が見える。
さらにラウンジすずらんの中に入ると、そこはまた壁一面広く取られた窓の外はその池だった。
夕方6時にオープンしたばかりのラウンジはがらがらだ。
さっきの企業陸上部の選手たちはみんなバイキングに行くのだろう。
いかにも夜はお酒とカラオケで賑わうのだろうと思われるソファーやカウンターのある室内は、子供と夕食を食べるにはどことなく落ち着かない。
注文したラーメンは普通に美味しいなぁという感じ。
麺がもっちりしていた。
食べている間にも日はどんどん沈み、いつのまにか広い窓の外は鮮やかな夕焼け。
ねえねえこれってもしかして、今急いでお風呂に行けば、露天風呂から夕陽が見えるんじゃない?
大急ぎで部屋に戻り入浴の支度。
私はさっき一度入っているが、子供たちは初めて入る。
いそいそとまたもやエレベーターで階下へ。短い時間に行ったり来たり。
残念ながら浴室に到着した時は既に空を染めた夕焼けは姿を消し、外は黒々とした夜闇に包まれていた。
露天風呂に出てみたが、さらに残念なことに池も真っ暗で鯉が見えなかった。
なんとなく寄ってくる気配はあるが、見えないことには楽しみ半減だ。
だいいち子供たちが信用しない。どんなに「たぁくさんの鯉がいたんだよ」って言っても。
その代わり池の対岸に備え付けられたライトアップがよく見えた。
照らされているところだけぼんやりと輪郭の判る夜の池は、昼間より和風な景観に見えるが、ライトアップされている電飾はキツネなどの動物の形で、なんだかかわいいやら可笑しいやら。
お湯はさっきよりにゅるにゅるする感触が増している。
上がるとさぁっと冷えるところも夏向きの温泉だ。
露天風呂から見えた池に映るアニマル型のライトアップ