飛図温泉

秘境の宿だったが廃業に

  • 所在地 静岡県富士郡芝川町上稲子飛図2453-1
  • 泉質 アルカリ性冷鉱泉
  • 設備等 男女別露天風呂、男女別内湯など
  • ※残念ながら温泉データを纏める前(2011年)に温泉施設が廃業してしまったようです。データとしては既に役に立ちませんが、思い出のレポートの一つとして纏めさせていただきます。
[2010年5月のデータ]

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  • 温度★★★★★ 泉質★★★★☆
  • 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★☆☆  露天風呂の眺めは良かった

飛図温泉 体験レポート


飛図温泉の外観

 2013年になって、昔旅行記をアップロードしてそのまま温泉の紹介ページを作れずにいた温泉を少しずつまとめていこうと重い腰を上げたのだが、まず手を付けたこの飛図温泉、調べたら残念なことに既に廃業していた。
 こんなことならもっと早くまとめれば良かったと後悔したが、時遅し。
 これから訪ねようと思っていた人の役には立てないが、当時の様子を少しでも伝えることができれば幸いだ。

 あれは2010年のゴールデンウィーク。
 富士山麓のふもとっぱらオートキャンプ場に泊まって、新稲子川温泉ユートリオに行った帰りがけに看板を見つけて立ち寄ったのだった。

 飛図温泉へ向かう道は、山を削ってコンクリートを作る古びた砕石工場の他は建物もあまり無い道。
 途中でライダー集団とすれ違った他は、あまり車の通りも無い。
 道をずんずん登っていくと、ふいに飛図温泉の建物が建っていた。
 看板には「秘境の里 飛図温泉」。
 秘境なのか・・・ココ。
 ・・・B級を絵にかいたような佇まいにちょっと不安になった。


飛図温泉の卓球台と内湯。内湯画像はクリックで拡大。

 雨だれの跡のついた漆喰の四角ばった建物で、駐車場には意外に新しい飛図温泉の名が書かれたマイクロバスが停まっている。
 玄関のプランターを飾る花はきちんと手入れされているが、ちょっと昭和の臭いがする調度品が並んでいる。
 入って右にフロントがあり、正面は奥が宴会場のようになっていて、ちょっとした舞台やカラオケ設備があるのはいいのだが、スピーカーの上の変色したキティちゃんが怖い。

 受付の女性は日帰り入浴について伺うと入湯税込みで大人750円ですと愛想よく言った。
 子供たちは車で待っていると言うので大人だけで気軽だ。
 浴室は左手に進むとあるというので、私たちはスリッパに履き替えると入浴料を払った。

 驚いたことにちょっとした売店の先に卓球台が二つ並んでいた。
 卓球温泉だね。
 あまりにも似合いすぎ。
 浴室はさらに先。
 ここはリハビリに来る人が多いようでバイオセラピ施術手技センターと書かれた別館などもあるようだ。
 浴室に繋がる廊下は殺風景で温泉旅館と言うよりリハビリセンターらしい雰囲気。
 廊下の正面突き当りが女湯で、手前の左側が男湯。


飛図温泉の露天風呂。川が写っている方の画像はクリックで拡大。

 浴室に入ると何故か誰も使っていないシャワーがひとつ勢いよく出しっぱなしになっている。
 「ああそれ、しばらく出しておかないとお湯にならないから」
 先客の女性と、その先客の女性に教わったらしく一緒に来た友人が二人で言う。
 なんじゃそりゃ。

 浴槽はちょうど入って真正面にあって、その奥が一面ガラス窓になっているのでなかなか良い感じ。
 窓の外は新緑だ。

 お湯は無色透明。
 壁の張り紙にはほう酸と鉄分を含有しているので赤い湯の花があると書いてあるが、ほとんど湯の花らしきものは見当たらない。すっきりと綺麗なお湯だ。
 きしきししてさっぱりとした肌触り。
 ごくごく僅かに鉄のような臭いがする。


飛図温泉のパラソルのある露天風呂と、ロビー

 露天風呂にも出てみた。
 こちらは本当に素晴らしかった。
 正直に言って、外観の佇まいからまったく期待をしていなかったが、こんなに雰囲気の良い露天風呂があろうとは。
 長方形でコンクリに岩を埋め込んだ岩風呂になっていて川に向かって張り出している。
 開けているのは一方向だけだが、それがまさに緑に囲まれた自然の風景で、森の奥へとせせらぎの音を立てながら川が流れていく様子が湯船から見下ろせる。
 期待していなかったということは素晴しい。
 なんとも心癒される露天風呂だ。

 川を見下ろしていると足もとのお湯の中に穴のあいた岩がある。
 振り返ると何ともチープな錆びかけたパラソルが壁に立てかけてあって、どうやらあれを差しこむための穴らしい。
 雨の日に差すのか日差しよけに差すのか判らないが、こういうところがB級路線に拍車をかけちゃうんだよなぁと思わず苦笑。
 でもそれを補って有り余るものがある露天風呂だった。