子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★★ 泉質は特に刺激なし
- 設備 雰囲気
子連れ家族のための温泉ポイント
湯端温泉に関しては、何から書き出したらよいものやら皆目見当もつかない。それは2002年の大晦日の日のことで、おばあさんが一人で切り盛りされているらしいという他は、何の事前情報も持っていなかった。
背後に牛が伏せたような形の牛伏山が控え、近くにはホタルの生息地がある。事実この宿は、ホタルの宿として知られている。
訪問前に電話を一本入れたが、宿の主は耳が遠いらしく、意思疎通には少々難儀した。
こんなところに温泉が?という田舎道を行くと、「湯端温泉」の看板が出ている。どう見てもただの民家。奥深い山の中でもなんでもない。
入り口をがらりと開けて益々面食らう。外観よりはるかにオンボロな内部。呼べど誰の返答もなし。御用があれば押してくださいと書かれたブザーも壊れているらしい。
奥からのそりとあらわれたのは、接客係の猫。大人しく利発で人懐こい。鼻先と腹が白い黒猫で、名前はクーパー。
更にその先で、ようやく女主人と遭遇。
廊下や階段には洗濯物の山。ちょっと現役の温泉施設とは思えない。こういうところは初めてで、どうしたものやらまごまごしてしまう。
画像は女湯の浴室。実際入浴したのは男湯の方。タイルの色が違うだけで作りはほぼ同じ。他に誰も客がいなかったらしく、家族風呂として使用させていただいた。
男湯は女湯より使用頻度が高いのかマナーのない客が多いのか、はるかに散らかっていた。
お湯は冷鉱泉なので沸かしているようだが、ちょっと熱かったので少し水を入れた。浴槽の真ん中の壁のところに下向きの赤い矢印が見えると思うが、ちょうどこのあたりの浴槽内の壁に二つほど穴が開いていて、そこから熱い湯が出てくる。
とくにきしきしもにゅるにゅるもしない。磯海苔の香りのする湯で、味は香りほどには強くないごく薄い塩味。無色透明。
カラオケセットを置いた宴会場(休憩室)もある。
テレビにも出たらしく、芸能人と写ったその時の写真や、湯端温泉小唄なんてものも貼ってある。活気のあった時代もあるのだろう。
特に「ホタルのおじちゃん、おばちゃん、いつもおかしをありがとう…」で始まる子供たちからの手紙が沢山貼ってあり、当時を偲ばせる。子供たちはみんなで泊まりに来て、この窓からホタルを見ていたのだろうか。
施設の清掃状況などから、ちょっと赤ちゃん連れファミリーには薦められない。ホタルの宿というフレーズで想像できる温泉を求めて行く人にも薦められない。
が、これを読んだ上で、面白そう!!と思われた方はぜひ行ってみてほしい。
帰りにはリンゴをお土産に頂いた。
あの明るくて、腰は曲がっていても元気なおばあちゃんの人柄だけでもっている、そんな不思議な温泉だ。