元湯甲子温泉 旅館大黒屋

混浴大岩風呂は貴重な足元湧出泉

  • 所在地 〒961-8071福島県西白河郡西郷村真船字寺平1 TEL 0248-36-2301 FAX 0248-36-2304
  • 泉質 
     ・大岩風呂・櫻の湯 単純温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
     ・恵比寿の湯 カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
  • 日帰り入浴受付時間 10:00~15:00
  • 立ち寄り入浴料 大人 700円、小学生 450円、幼児 350円、2歳以下無料
  • 設備等 混浴大岩風呂、男女別内湯、男女別露天風呂、食事処、大広間休憩室(有料)、個室休憩室(有料)
  • 定休日 季節によって水曜日
  • 公式サイトURI http://www.kashionsen.jp/
[2013年8月のデータ ただし日帰り温泉料金・日帰り入浴受付時間等は2016年1月のデータ]

子連れ家族のための温泉ポイント温泉ランキング

  • 温度★★★★☆ 泉質★★★★★ 混浴大岩風呂は特にぬるめ
  • 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★☆

元湯甲子温泉 旅館大黒屋 体験レポート

甲子温泉大黒屋の外観 甲子温泉大黒屋の入り口
甲子温泉 旅館大黒屋の外観

 甲子温泉は昔読めなかった。
 普通に「こうし温泉」だと思っていた。さもなくば「きのえね温泉」
 母親が「かし温泉」「かし温泉」と言うのがどこのことか判らず当惑したものだ。何度か説明されてようやくそれが日本秘湯を守る会に入っている甲子温泉のことだと判明した。

 「甲子温泉に寄ってく?」看板を見つけたパパが言った。
 えっ、ホントに?
 今日の予定は大内宿を経由して会津東山温泉に入るというものだったので、朝からどこか温泉に寄れるとは思っていなかった。
 「甲子温泉、甲子温泉、確か私の母親のお勧めだったよ、ぜひ寄ってみたい」

 甲子大橋の手前で左に400m進むと甲子温泉だという看板が見える。
 看板に従って曲がると、大橋の横を道は大きくカーブを描いてループのように下がっていく。
 木造の古い校舎のようにがっしりした造りの旅館大黒屋は甲子温泉の一軒宿だ。新甲子温泉はこの甲子温泉の湯を引いて使っている。
 大黒屋到着は日帰り受付を始める10時より僅かに早く、時間になるまでの数分間は駐車場に咲く花など見ていた。

甲子温泉大黒屋の暖簾 甲子温泉大黒屋のロビー
甲子温泉 旅館大黒屋の暖簾とロビー

 受付では初めてですか?と聞かれた。
 町中の日帰り温泉では料金システムの説明の有無などからこうした問いを受けることも多いが、山の中の一軒宿で聞かれたのは初めてかもしれない。それだけリピーターが多いということだろうか。
 初めてだと答えると、スタンプカードを渡された。そうか、これのための質問か。通えたら通いたいけど遠すぎるよねぇ。

 玄関から入って左に折れ、廊下を道なりに進むと男女別の浴室がある。
 しかしお目当てはここではない。
 受付で言っていた混浴の大岩風呂。確かここが甲子温泉大黒屋の真骨頂。

 途中でスリッパを履き替える靴棚があって、そこからは殺風景な狭い階段がずっと下に伸びている。
 天上はトタンのうねうね。窓の少ない壁も古びていた。
 手すりにつかまりながら急な階段を下りて外に出ると、思わずうわぁと感嘆の声が上がる。
 急に明るくなった外の日差しに目がくらみそう。そこは緑まぶしい渓流に架かった橋で、橋の向こうに茶色い屋根の湯小屋が建っていた。

甲子温泉大黒屋の混浴大岩風呂へ続く階段 甲子温泉大黒屋の混浴大岩風呂
甲子温泉 旅館大黒屋の混浴大岩風呂に向かう長い階段と大岩風呂の湯小屋。湯小屋の画像はクリックで拡大。

 湯小屋の右側には女湯が付いていたが、やはりここは混浴でも大岩風呂だろうと紺の暖簾が下がった入口を開ける。
 外から見るよりずっと広く思える浴室は、少し薄暗く木組みの天井が黒々として見えた。
 もうドアの向こうはいきなり浴室で、右手にそれほど背の高くない衝立を立てただけの脱衣棚があった。
 「隣の女湯からバスタオルで移動してくるのは難しいかな」
 外も通るしちょっと難しいんじゃないかとパパが言う。
 しょうがない、衝立で何とかするか。幸い先客はマナーの良い方たちばかりでみんな背を向けていてくれる。

 掛け湯をして入ると少しぬるめのくせのないお湯。
 大きな浴槽の底は天然の岩がごつごつしていて深め。湯船に沈んで左前方の壁を見ると板壁の一部から大きな岩がむき出しに突き出していて小型の鳥居が岩の前に立てられている。岩は子宝石と呼ばれてなでると子宝に恵まれると言う伝説があると言うが、それを知ったのは上がった後だ。どちらにせよもう娘が二人いるし、なでに行くつもりは無かったし。
 お湯は無色透明。肌触りにきしつきを感じるほかは特に臭いも無い。

甲子温泉大黒屋の混浴大岩風呂の入り口 甲子温泉大黒屋の櫻の湯
足元湧出泉の混浴大岩風呂入り口と、隣の女湯の櫻の湯。櫻の湯浴室の画像はクリックで拡大。

 ぬるめなのにとてもよく温まり、熱い風呂が好きなパパは最初はぬるいぬるい言っていたにも関わらず、のぼせると言って早々に上がってしまった。
 彼が上がった後にそちらに移動して足を伸ばしたら、底の岩の間に足の先が入り、そこから冷や冷やとした源泉が出ていることが判った。
 ああ、ここ、足元湧出泉だったんだ。
 そうじゃないかなと思っていたけど、ちょうどここから湧いているみたい。
 ゆっくりと、ゆらゆらと、足元から立ち上る少し冷たい源泉。時々小さな泡も一緒に浮いてくる。何だか感動だなぁ。
 窓の外を見るとガラスの向こう、緑の木々が陽を浴びて生き生きとしている。

 流石にあまりに長く入っていると目が回りそうになってくる。
 本当に決して熱くはないのにものすごく温まる。
 足先のゆらぎを心残りに思いながら上がった。
 とても良い湯だった。

甲子温泉大黒屋の恵比寿の湯 甲子温泉大黒屋の恵比寿の湯の露天風呂
甲子温泉 旅館大黒屋の館内にある男女別の恵比寿の湯とその露天風呂。内湯の画像はクリックで拡大。

 大黒屋ではもう一本別源泉を引いている。館内にある男女別の恵比寿の湯がそれだ。
 そーっとのぞくと混浴の隣の女湯同様誰もいなかった。
 こちらはごく普通の浴室と言った感じで、御影石の端正な浴槽が広い窓の横に備え付けてある。カラン、シャワーといった設備も申し分ない。
 さらに窓の向こうには小ぢんまりとした露天風呂もあって、ぎらぎらした夏の日差しを反射していた。

 恵比寿の湯は足元湧出の混浴大岩風呂よりきりりと熱かった。
 やはり無色透明で臭いは無いが、きしつきは大岩風呂より少し緩く、出た後に少しべたつきと言うか、肌に何かが残る感じがある。
 二種類入れるって何だかお得な気がしちゃうな。

 後から受付で混浴大岩風呂について伺うと、やはり足元から30度ぐらいのお湯がそのまま湧いているのだと教えてくれた。
 お湯の湧く岩場が先にありきでその上に小屋を建てたわけだ。お湯の鮮度としてはまさに最上級。

旅館大黒屋の混浴大岩風呂は渓流沿い 旅館大黒屋の温泉分析表
旅館大黒屋の混浴大岩風呂手前の渓流の景色と古い分析表。渓流の景色はクリックで拡大。

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  • 会津東山温泉巡り 宿泊したのでお部屋や食事の様子などは旅行記の方をお読みください

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女性の混浴風呂攻略ポイント

  • 混浴大岩風呂
     脱衣所は浴室内にあるが衝立で一応隠れる。脱衣スペースに男性がいないときは使いやすい。
     お湯は無色透明なので難易度が高いが、浴槽がとても広いこととマナーが悪くないことから、せっかくの足元湧出泉であることだし、可能ならトライしてみてほしい。
     隣に女性専用の櫻の湯があるため、もし中を見て無理そうならそちらに移動すれば良いと思う。