しかし露天風呂に出てみてその景観には感動した。
芦ノ牧温泉の
大川荘も棚田型の露天風呂を作って渓流を楽しめるようにしていたが、東鳳の棚雲の湯はずっと大きな棚田だった。
広い階段状の浴槽が三段整然と並び、一番下の段は浅く、寝湯のように枕の部分が付いている。
温度は上から気持ちぬるめ、熱め、ぬるめの順。
のんびり入りたい人が多いのか、ぬるめの上と下が人気だった。
東山パーク源泉という自家源泉で、加水、加熱、循環、プールのような塩素臭と湯遣いは少々残念系。無色透明できしつきがあるところは他の東山温泉と同じ特徴だ。
正直なところ、温度を下げる目的で加水するならその後加熱するなよと言いたくもなるが、まあこの辺はいろいろ事情もあるのだろう。
なんだかんだ言っても、お湯遣いを吹き飛ばすほど景色は良かった。
昼間入った温泉が全部渓流沿いで川を楽しむ作りだったのに対し、川から離れてひたすら坂道を登っただけはあった。
こうしてたまたま
東鳳を訪ねるのが夜になったのも采配なのかもしれない。
左側には低い山が迫っているが、右方向に向けてちょうど開けて眼下には会津若松の盆地の灯りがきらきらと煌めいている。
こんな景色と出会えると思っていなかったのでとても嬉しい。
ちょうど露天風呂に出てきた子供たちが夜景を見つけて「わーっ」と歓声を上げた。